衝撃!EUパワー

日本の将来に期待が持てないので海外投資を目論んでいるが、なんせ日本以外の相場は結構値上がりしているので、買うタイミングをつかめずにいる。
一口に海外投資と言っても、どの国、どの地域に投資するかが重要で、悩ましいところである。

先日大前研一氏のこの本を読んだ。
衝撃! EUパワー 世界最大「超国家」の誕生
多くのエコノミストが今後アメリカ、中国のG2体制が世界経済を引っ張ると思っているなかで、大前研一氏が「21世紀はEUの時代になる」と堂々と本書で宣言した。

EUに関しては、今回の危機から最後に脱出するだろうと思って、あまり注目していなかったが、
この本を読んで、EUのポテンシャルの大きさに気付かせてもらった。

EUのポテンシャルとは
①人口、GDPはアメリカ以上
②ユーロは世界でただ一つの規律ある通貨
③信頼できる共通基準(EU基準)
④人材、物流の移動が自由
⑤低賃金で優秀な人材が多い東欧諸国の加盟が今後も続く。


①に関してはもう説明はいらないだろう。

②に関しては3大通貨のうち、アメリカ、日本はもう借金だらけなので、ドル、円の暴落の不安が付きまとう。しかし、ユーロに関しては、加盟国には厳しい財政規律が定められているので、その心配がない。

③に関しては多くの国が加盟しているだけあって、共通ルールを定めるのは容易ではないようだが、いったんルールができると、そのルールはとても信頼できるものになっている。アメリカの場合もロビイストの影響で特定の産業、企業が優遇されるような法律がしばしば作られるらしいし、日本に関しては、海外の人から見たら信じられないような法律がたくさんある。EUでは多くの国が集まって作るので、そんな恣意的なことはできない。そして今やそうやって作られたEU基準が世界基準となりつつある。

④と⑤に関しては、EUの大企業は、日本みたいに社長は日本人とかの変なこだわりがなく、何人か関係なくその時に一番ふさわしい人をトップにしている。つまり、地域の人口が多いので、それだけ優秀な人材が多い。そしてそれらの優秀な人達を活用できる仕組みが成り立っている。

物に関しても同様である。その物を作るのに一番ふさわしいところで作られることが可能となっている。特に東欧諸国は賃金が安い上に知的水準が高く、しかも外国語をしゃべれる人が多いので、高度な製品を容易に、しかも安価に作ることができる。

今後もクロアチア、トルコなど将来有望な地域の加盟が見込まれているし、もしロシアが加盟することになれば多くの資源を手に入れることになるので、EUは最強国家となる。


日本の首相が次々と替わるのを見ていて、つくづく感じるのだが、一つの国をまとめるだけでも大変なことだ。それなのに27カ国をまとめてしまおうとするのだから、EUができるまでにどれだけの苦労があったことだろう。

しかも、ドイツやフランスは多額の補助金を東欧諸国などの貧しい地域に出して、地域間の格差を小さくしようとしている。両国とも消費税が20%くらいする。いろいろ不満があったと思うが、両国の国民が多額の税負担を受け入れてEU拡大に協力したことは感服する。

現在バルト三国ポーランドルーマニアなどが経済危機に陥っているが、これらの国は経済規模が小さいので、これらの国の救済にかかる費用は十数兆円ぐらいらしい。それくらいの負担はなんともないらしい。


中国やアメリカと違って、意志決定に時間がかかるので、経済の回復には時間がかかると思う。EUの銀行の不良債権問題も深刻で、そう簡単には解決しないだろう。そして最近ようやく初代EU大統領が決まったばかりだ。しかし、経済を発展させるためのコンセプトとしては、とても有望なので、投資対象として注目していきたい。

P.S
今、東欧諸国に投資するETFを捜している。ドル建てではあるが、ユーロ建てが投信で野村が出しているものしかないし、それもロシアへの投資比率が高い。しかも、販売手数料や口座維持管理料が高い。なんかいい商品ないかな−
http://558110.info/ETFiSharesMSCIEastanEuropeIndexFund.html