バブルの興亡

バブルの興亡 日本は破滅の未来を変えられるのか (講談社BIZ)
この本の作者は徳川家広といって徳川家康の直系の家系19代目にあたる人だ。本の帯には「欧米の金融マフィアに精通した著者が病んだ資本主義の終末を予言」と書かれている。普段なら胡散臭くて絶対買わない本だが、人気ブロガーのbest bookさんが五つ星を付けていたので買ってみた。

本書の内容は、金融緩和が行き過ぎて日本では近いうちにバブルが発生し、それがはじけて日本はとてつもないダメージを受けるという未来のシナリオが書かれている。読んで「ほーなるほど」と感心してしまったので、ブログに書くことにした。

過去の4大バブル(①日本の80年代後半に起きたバブル②アメリカで1929年のグレート・デプレッションの前に起きていたバブル③ITバブルサブプライムショック前までのバブル)が発生した原因はすべて、景気が過熱する前に金利を上げて、景気を冷まさなかったことによるものとしている。他の国の景気がすごく悪かったので、利上げできなかったためだ。

この本のシナリオは、
①日本は巨額の財政赤字などいろいろな問題を抱えながらも、中国特需の恩恵を受けて景気が回復し、人々の気持ちも緩む。
②株や不動産への投資熱が高まり、金融緩和の影響も相まって、株価などの上昇率は加速する。
アメリカやヨーロッパの回復が遅れているので、日銀は金利を上げられない(上げると資金が日本に集中するので、アメリカやヨーロッパの不況が深刻化するのと、国民もバブルの恩恵にあずかっているので、日銀の利上げに反対する。政府も金利が上がると国債の利払いが増加するので、反対する)。
④バブルへ突入。

その後のシナリオは3つある。
①80年代後半のバブルのように、政府が無理矢理バブルを潰す。
②政府は何も対策をせず、自動的にはじける。
③大増税をして景気の熱を強制的に冷ます。

バブルが崩壊したあとは、不良債権の山ができるので、今回の金融危機のように金融システムが大幅に痛む。それを修復するためには巨額な資金が必要である。経済対策や失業者対策にもたくさんお金がいる。今回アメリカはドルという基軸通貨を持っているので、どんどんドルを刷りまくって資金を調達しているが、日本は果たしてそのための資金を調達できるだろうか?

答えはNOである。このシナリオでは日本はバブルに浮かれて、巨額の累積財政赤字や官僚支配の継続など、将来の発展に繋がる改革を先送りしているので、誰も日本の国債を買ってくれない。

よって日本は非常に悲惨な状態に陥るらしい。

唯一のバブルからのソフトランディングの方法は③で、具体的には最初消費税を10%に上げて、段階的に消費財を上げていき最終的には16%ぐらいまで引き上げるのが妥当だそうだ。
そうすればマイルドに景気の熱が冷めていくらしい。

読後の感想としては、今の民主党の政策を見ていると、日本がアメリカやヨーロッパよりもはやく景気が回復するとはいままで思っていなかった。しかし自称弱小投資家としては、今後中国関連株を中心にこの機会を逃さぬよう注意したい。

また、日本がバブルに突入しそうになったら、次に日銀の行動が重要になってくるのも分った。もし日銀が早々と利上げして、バブルつぶしに走ったら、「せっかく景気がよくなっているのに何するんじゃ」と非難の声があちこちから上がるだろう。でも私はその時には白川さんに心から拍手を送りたい。日本が悲惨な状態になってほしくないので・・・



でも今の状況で、近いうちに日本でバブルが起きるなんて信じられない。