市場原理主義はすばらしい?

今「規制緩和」という言葉が聞かれなくなった。自由競争にさせるとろくな事にならない、という意見が優勢になったからだ。

金融の自由化のせいで今回の危機が起き、タクシーの規制緩和で運転手の労働条件が悪化した等、規制を緩和して市場原理に任せることに対する反対意見が多い。

私も最初はそう思っていた。市場原理に任せるとは、つまり野球で言えばプロ野球の世界である。結果が全てで、力のない者は容赦なく切り捨てられる。こんな世界は一部の力がある者だけが有利になる世界だと思っていた。


しかし経済を勉強してみると、市場原理って結構有効じゃない?と思えてきた。


市場原理に任せるとは、需要と供給のバランスで価格を決めるということである。この価格は生産者と購入者の利益の合計が最大になるところで決められる。

生産者と購入者が得られる利益の割合は、需要と供給のどちらが立場的に有利かで決まる。例えばタクシーの場合だと、規制緩和で需要よりも供給の方が増えたので、供給側の立場が弱くなり、運転手が得られる利益が減った。その分お客の利益が増えた。

もし、このままじゃタクシーの運転手がかわいそうだから、規制を強化して業者の数を減らそうとするとどうなるか?

これも少し経済をかじるだけ(入門の教科書を30ページくらい読むだけで)でどうなるかが予測できてしまう。

その答えは、価格が上昇し、需要が減少する。

ただし、この減少は市場原理によっても行われる。タクシーの運転手は割に合わないということで、運転手が他の業界に流れて、タクシーの供給が減少する。

つまり、政府の規制でやるのか、自然に任せるのか、の違いである。


では、どちらがいいのか?


経済学では、需要と供給のバランスに任せよ! としている。なぜなら、そちらの方が業者と客が得られる利益が最大になるから

政府の規制に頼ると、利益の恩恵を受ける人に歪みが生じる。どちらかというと、業者の利益が多くなる。

よって市場原理はすばらしい、とうことになる。

ここまで読んだ人は、そんなの分ってるよ! 当たり前じゃん! 経済勉強しなくても分るよ! とツッコミを入れている方も多いとこだろう。

では、労働市場はどうだろうか? 労働も需要と供給のバランスに任せるべきか?

次回このことについて考察してみたいと思う。