ロシア・ショック

今日、ロシアがウクライナにガスの供給をストップした、とのニュースを見た。そしてロシアはこの冬まっただ中に天然ガスの供給を止めるとは、なんというひどい国だ、と最初は思った。

しかし、たまたま立ち寄った本屋で下記の本を読んで、自分の考えが間違っていたことに気付いた。
ロシア・ショック
両国のガス問題は、ウクライナがガス代をロシアに払わないのが原因だ。ウクライナがロシアにガス代を払わない原因は、ロシアがガス代を大幅に値上げしたからだが、ロシアはソ連時代に設定された非常に安い値段を、適正価格に戻しただけであって、ウクライナをいじめるために値上げしたわけではない。テレビのニュースだけ見ていると、ついついイメージでその問題を捕らえてしまう。いけないことである。

本書は経済的に見れば、市場としてロシアはかなり有望だ、としている。本書で書かれている内容は、
◆社会、経済面
プーチン国家元首として優秀で、しかも国民から、かなり評価されている。
・ロシアは教育水準が高く、優秀な科学技術者を多数抱えている。特にITの分野では、21世紀のIT大国と成り得る。また教育水準の高さは、中間層の形成を可能にし、購買力が期待される。
・購買意欲が旺盛。そしてプーチン首相をはじめとして親日家が多く、多少高くても日本製品を買いたがる。
・資源が豊富。
・官僚の腐敗は、相変わらず。

◆外交面
・現在は、中国との国境問題は、区切りがついているが、潜在的には、中国の莫大な人口に脅威を抱いている。
旧ソ連国家との関係(複雑。ただの資源を巡る争いだけでなく、現地のロシア人が虐げられた時は出て行かざる負えない、という事情も抱えている)
EUとの関係。(対立もしくは協調。そして将来、ロシアはEUに加盟するのを望むのか?)

本書を読むと、大前氏がBRICsの中では、ロシアが一番有望だとして、北方領土問題に囚われずに、日本も積極的にロシアと関係を結ぶべしとしている。

またプーチン首相は、帝国主義的な考えを捨てて、実利を重視し、将来的には、EUに加盟して、ヨーロッパの一員として、生きていくことを選択すると、予想している。

プーチン首相に対するイメージが覇権主義的な感じがして、今までロシアに対していいイメージを持っていなかった。今日の「ニュース23」でもロシアが資源獲得のために、グルジアに進行したとの特集をしていたが、本書を読んでなかったら、プーチン首相に対して一方的な悪いイメージしか抱かなかっただろう。(プーチン首相の本心は、今後も経過を見ていかないと分らないと思う)

よく考えてみると、いくら資源をたくさん持っていても、国際社会から孤立しては、イランのようにさらなる発展は望めない。ロシア国民も資本主義のよさをもう味わってしまったので、昔みたいな物不足の社会には戻りたくないだろう。

マスコミが中国やロシアを報道するときは、脅威的なイメージで報道するが、両国のトップは、わざわざ国際社会で悪者になるような、バカなマネはしないと思う。


国際問題は、一方的なイメージでとらえられるほど単純でない。本書は自分の偏った思考を正してくれ、とても有用な本であった。