人間この信じやすきもの 5

噂を信じる(人づての情報のもつゆがみ)

人の、よい話をしたいという欲求が、いかに他人に伝える情報の正確さを歪めるかについて。



◆「コミュニケーション行為を正当化する」という目標
・伝えようとするメッセージがまず何をおいても聞き手の注意を喚起する物でなければならない。
・聞き手にとっては、話し手と関わることが何らかの形で有益な物でなければならない。
→これらを満たそうとすると、伝達内容に歪みが生じる。

誇張と省略
人づての情報でしか知らない人物についての印象は、誇張され極端なものになりやすい。それはその人が行った行動だけが誇張され、その行動を行った背景については、省略されることが多いから。

「有益さ」とおもしろさのための脚色
・密着性(話が身近な感じ)を高める
・付帯条件の省略
・事実の誇張

自己本位の脚色
・人を喜ばせる面白い話をすれば、自分が人を喜ばせる面白い人間だということになり、話し手の社会的イメージの向上につながる。
・人には他人にあることを信じさせたいという気持ちがある。
・自分の話の理論的な都合による脚色

いかにもありそうな話
いかにもありそうな話に対しては、聞き手は、批判的なガードが甘くなる。

話の全体的な背景となる母比率を重視する
例えば、自分たちの結婚が離婚に終わる可能性を考える際に、現在二人はとても愛し合っているとか、相性がぴったりだ、ということを重視せずに、米国における離婚率が50%であることを冷静に考慮しなければならない。

情報源をよく確かめる
事実を信じ、予測は疑え
誇張と省略に目を光らせる
生の証言に騙されるな

(ここまでの感想)
最近NHKの7時のニュースを見ていると、ニュースに対する街角の反応をよく映している。後期高齢者制度についても、身なりのいいおばあさんが「負担が大きい」とカメラに向かって言っているが、そこまで言うほど負担が大きいのだろうか? 冷静に考えて、今後も保険制度を維持していくことを考えると、必要なことではないのだろうか? それなのにNHKまでもが事実を誇張するような放送をするから、いまさら見直しをどうのこうの、という話になるのである。受信料払って見ているいるのだから、もっといろんな世代の意見を反映させ、この問題を客観的に分析して欲しいものである。

今日の中日新聞の夕刊に、脳科学者の茂木健一郎氏のインタビューが掲載されていた。いつもニコニコしているイメージがあったが、今回は、日本人に対して辛口の意見を言っていた。「もうちょっと日本人は知的な向上心を持って欲しい」「日本は知のデフレがずっと進行していて、どんどん日本人がバカになっている」と。つまり、なんでもうわべだけで単純に物事を考えすぎると非難していた。

最近の日本の首相になる人を見ていると、やることが場当たり的で、日本をこういう国にしたい、という志が見えない。麻生さんなんて何年も前から総裁選に立候補して首相になることを目指していたのだから、その時から将来の日本のあるべき姿の青写真を描く努力をしていれば、バカなイメージを持たれることもなかったと思う。マンガ好きを強調して、親密性をアピールするのはいいが、今の感じでは、本当に書物はマンガだけでしか読んでいなさそうである。
民主党の小沢さんもしかり。自民党の揚げ足を取るのに精一杯。考えている政策は自民党に負けず劣らずのばらまきで、どういう国にしたいのか見えてこない。そんなことで国民の支持を取り付けられると思っているのだろうか?

今の政治はわかりやすさを追求しすぎているため、私から見ると国民をバカにしているように見える。タクシーの運転手に話しかけている暇があったら、もっと日本の将来に付いて真剣に考えてもらいたいものである。はっきり言って今の60過ぎの人には、今世界で起きていることと、日本が置かれている状況を理解することができないのではないか? こんな人達を首相にしていては、サミットなどの国際会議でも発言力が上がらず、日本の存在感が低下するだけである。

最近米国がすごいと思ったのは、アンケートでGMに資金援助するよりも倒産させた方がよい、と答えた人が半分以上いたことである。倒産させて、高コスト体質を一新して、一から出直した方が、国益にかなうと思っている人が半分以上いる。もし日本だとそんな議論をするまでもなく、あっという間に国会で救済策が決められるだろう。このことから、米国は真剣に自分たちの将来を考えていると感じた。我々も負けてはいられない。