ETFの信託報酬が安い理由

最近盛んに勧められているETF(上場投資信託)による分散投資だが、インデックス投信と比べて、なんで信託報酬があんなに安いのか不思議でだったので、今回東証のホームページで理由を調べてみた。(http://www.tse.or.jp/rules/etf/qa_1.html#que2

通常のインデックス投信は、我々投資家から集めた資金で株を買い、投資家が解約するときは、その株を売って現金化し、投資家に返している。よって株の売買に関わる手数料がかかるので、ETFより信託報酬が高い。

ETFは最初、設立されるときにETFを売って現金を集めるのではなく、指定参加者(各証券会社)との間で、現物株バスケット(ベンチマーク日経平均TOPIXなど)に連動するように組み入れ比率を計算された現物株式の寄せ集め)とETFを交換する。そしてそのETFが上場されたら、指定参加者は少しずつETFを市場で売却していく。

つまり、現金のやりとりは、投資家と証券会社との間のみで、証券会社と発行元のファンドは物々交換で済ませているため、コストが安くできるのである。

もう一つ気になるのは、ETFの大きな特徴は市場で自由に売買されるということであるが、そうなると基準価格(発行元ファンドが保有している株式の時価総額を発行したETFの口数で割ったもの)と市場価格に差ができてしまうのではないか、ということである。

これは基準価格よりも市場価格が高くなれば、指定参加者がETFを市場で売却して、そのお金で現物株を買い、それを発行元のファンドと交換してETFを取り戻す、という裁定取引をして解消している。

最後にETFのデメリットをまとめておく。
・一口当たりの価格がインデックス投信より高い。
・上場基準を満たせなくなったら、上場廃止になる。

上場基準は東証のホームページだと

ETFの上場基準の主な特徴は、より株価指数に連動するよう求めていることにあります。
具体的には、信託財産に関して、株価指数時価総額構成比率の95%以上を構成する銘柄を組入れるほか、株価指数と純資産額との相関係数が0.9以上となることを求めています。


また上場廃止基準として

受益者数が100人未満の場合において、1年間の猶予期間内に100人以上とならないときは、上場廃止とする。


これらが満たせなくなったら上場廃止となる。上場廃止になる一ヶ月前は整理ポストに入れられる。そして上場廃止になったら、証券会社が換金してくれる。ここで疑問なのは整理ポストに入れられたときに市場で売却した方が得なのか、上場廃止の時に換金した方が得なのか? つまり、前者は市場価格で売却することになり、後者は基準価格で売却することになる。これはその時になってみないと分からないのだろうか? 今回は調べきれなかった。

東証は発行元ファンドにディスクロージャーとして以下の項目を毎日開示するよう定めている。
ETFの追加設定に必要な株式ポートフォリオ(日々)
・上場受益権口数、純資産総額、1口あたりの純資産額(日々)
・1口あたりの純資産額と株価指数終値の乖離(日々)
・ファンドの決算情報(定期)、等
以下のサイトで確認できる。
http://www.tse.or.jp/listing/disclosure/index.html

運用コストが安いため、長期運用に適しているとして、多くの専門家がETFを勧めているが、上場廃止というリスクもある。株価が上昇しているときは、上場廃止になるとは思えないが、今回のような恐慌が起きて、ETFを買う人が減ったときは、要注意である。ちなみに、日本では今までに5本が上場廃止になっている。すべて受益者数が基準を下回ったためだそうだ。あまり人気のないETFは買わない方が無難である。