9つの性格(まとめ)

9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係 (PHP文庫)
「9つの性格」とはエニアグラムの事で、人間は9つの性格に分類できるという、2000年前から用いられてきた考え方で、米国では現在でも熱心に研究されおり、AT&Tなど大手企業の人事でも用いられている考え方。

この本を読んで参考になったことは、各人みな「囚われ」を持っているということである。よく何回言ってもその人の行動が変わらないのは、その人が抱えている「囚われ」のせいである。この本を読むと、何回言っても行動が変わらない人の、心の中で考えていることが理解できるかもしれない。100%正しいとは思わなくても、「へーそういう人もいるんだ」と参考程度にとどめておくだけでも、今後の人生に十分役に立つだろう。上司や部下、だんなや奥さんの謎が少しは理解できるかもしれない。

1.完全でありたい人
何事もきっちりこなさないと気が済まない。率直で人当たりがよいが、周囲にも完璧さを求める。怒る事はそんなにないが、怒りは蓄積されており、最後は些細な事が引き金になって、爆発することもあるので、怒られた方は「何で?」と思う。あと他者と自分との比較にも執着する。

2.人の助けになりたい人
他人の必要を満たすことに一生懸命で、人間関係を良好に保つために、どのような自己犠牲も厭わない。これは他者の愛情と好意を得たい、という囚われのためで、親切にした相手から感謝されないときの不満は相当大きい。つまり好意に対する見返りを強く求める傾向があるということ。

3.成功を追い求める人
向学心や上昇志向が強く、認められるために努力を惜しまない。そして自分の考えを効果的に表現する天性の才がある。理想的なイメージを演じたい願望があり、まさしくエリートタイプである。これらの行動の根底にあるのは、落ち込みの恐怖から逃れるためで、人生を振り返って落ち込むことを恐れ、仕事などに没頭する。そして家庭生活など内面的葛藤をともなう行為はおろそかにする。またステイタスを失うことを恐れているので、部下の失敗などにも厳しい。

4.特別な存在であろうとする人
平凡さを避け、特別な存在であろうとする。また現実に満足せず飽くなき追求を続ける。これは自分を小さい存在であると自覚の裏返しである。そして退屈で無価値な現実を肯定するために、感情の浮き沈みという変化が必要。自尊心が低いため、常に悩みを抱いて生きてきたので、苦悩する人々と適切に接することができ、助力を好む傾向もある。

5.知識を得て観察する人
知識を蓄えることを好み、賢明であろうと心がけている。また客観的に物事を見ることができる。自由なポジション、孤独を好み、自分の時間を大切にする。空虚さを避ける囚われがあり、空虚さの原因を、自分の周囲が軽薄なためと考える傾向がある。そして空虚さを埋めるために、知識を吸収しようとする。客観的に物事が見れるのは、思考と感情を切り離しているからで、感情を自覚するのに時間がかかる。また他者に依存して、内面の進入を許し、心を乱されることを嫌う。そして知識を過大評価し、知識を求めるためには他人から遠ざからねばならないと誤解している。

6.安全を求め慎重に行動する人
納得のいく主義主張やすばらしいと感じられる理想に忠実で、そのために自己犠牲をいとわず、目の前の成功や名声にあまり執着せずに努力を重ねることができる。
“信頼できない”親に育てられたという記憶(思い込みの場合もある)をもっているので、強いものへの不信感もある。つまり弱くて臆病な自分を守ってくれる権力者への依存心と、自分の弱みにつけ込む不当な権力者への反抗心の両者を兼ね備える。自分の思いを周囲に向けて表現することが苦手で、自分の意志で行動するのが怖いため、行動力や物事をなし遂げる力に欠けていることが多い。本人はこれを自覚していない。

7.楽しさを求め計画する人
創造性への熱意と進取の気性を備えており、物事のすべての肯定的な面に目を向けようとする姿勢がある。楽しささえ感じられれば、何の見返りがなくても物事に情熱を傾けることができる。これは自分の欠点を自覚するのを恐れることの裏返しである。よって彼らの関心は、一緒に遊ぶ人間ではなく、自分と過ごす楽しい時間にある。周囲で自分のいやなことばかりが起こると、自分が“嫌だ”と思うことをストレートに表現し、周囲を批判的に見るようになり、他者の問題点ばかりに目が行くようになる。

8.強さを求め、自己主張する人
この人は力と支配に囚われており、 自分の弱さを隠すことにこだわっている。リーダー志向が強く、他者を自分の意見に従わせることに安心感を覚える。不正や卑劣さへの強烈な敵意と正義へのこだわりがある。公平なケンカを尊重し、攻撃されても意見を曲げない人間に共感し、対立を避けて妥協するものを軽蔑する。外部に対して攻撃的なのは内面を見つめ、他者と同様の卑劣さや弱さなどの脆弱さに気付かないようにするため。アルコールなどの依存症になりやすい。

9.葛藤を避ける
相手を素直に受け入れる包容力と相手の人生には何が一番大切かを感じる優しさがある。調和を保つことを重視し、権力志向には興味がない。子供時代に疎外感を味わった思い出を持っていることが多く、自分の関心事など誰にも考慮されないと思い込んでいる。自分の意志を決定することが苦手で、自分の状況への無理解と意見を聞いてもらえない深い怒りを、動かないということで主張することがある。自分の弱さが気に入らず、意地っ張りになることも多い。また手放すことの恐怖から、ため込む思考があり、コレクターになる人が多い。

私の性格はタイプ5で、4月から実家にこもって、英語の勉強と読書ばかりしているのだが、全然苦にならない。親は引きこもりだと思って心配しているが、私は将来に向けて努力していると思っているので、いっこうに気にならない。たまにこんな自分でいいのかな?と不安になることもあったが、この本を読んだことで、自分の性格がしっかり理解でき、安心することができた。

不安の原因を追及するということは、とても大事な事である。今回、自分の「囚われ」を知ることができ、自分の欠点の根本原因を自覚することができた。これは自分を客観的に見ることができることにつながり、今後の人生に大きな影響を与えてくれると思う。