人間この信じやすきもの1

人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書)
この本は定価3,000円であるが、勝間さんに3万円の価値があると、言わしめた本である。人間の認知がいかに間違いやすいかが、多数の実験データをもとに書かれている。今後不確実な世の中を生きて行くにあたって、物事を正確に見る、ということは大変重要なことである。特に株式投資みたいに不確実なものを相手にするときは、ぜひ身につけておきたい能力である。この本がそれを可能にするきっかけとなると思って、高かったが購入した。以下その内容を何回かに分けてまとめたいと思う。


何もないところに何かを見る −ランダムデータの誤解釈−
 我々は、外界に秩序やパターンや意味を見出しがちな性向を持ち、物事が混沌として、無意味なままでいることに耐えられない。
 秩序やパターンを見つけ出そうとする行為は、とても有用なものである。しかし、たいした検証もせずに、こうした傾向が生み出したものを仮説としてではなく、確立した事実として取り扱ってしまうのが問題。
●偏りの錯誤 
実際はそれほどでもないのに、コインを投げると裏と表がほぼ交互に出ると思ってしまう。このようにランダムな事象の生起についてのこうした誤った直感を「偏りの錯誤」という。この錯誤のために、実際に裏と表がほぼ交互にでると何とも思わないが、続けて裏が出たりすると、何か理由があるのではと、法則を考えたりしてしまう。確率的には変わらないのに・・・
●代表制にもとづく判断
 目立った特徴や単なる表面的にすぎない特徴でもって、物事の類似性を測り、その類似性にもとづいて判断をすること。多くの場合正しく、有効であることが多いが、過信してはいけない。
●人は、物事を後から説明づけることに対して、特筆すべき能力を有している。
 ランダムなパターンがひとたび「真の」現象として誤って認知されてしまうと、それが不思議な謎の現象として留まることはなく、すぐにそれらしい説明がつけられて、人々の既有の理論や信念に組み入れられてしまう。さらに新たな情報を評価する際にも影響を与え、既有の信念をさらに強めるように情報を歪めてしまう。→思い込み
●統計的回帰現象の誤認
・回帰効果
 相関する2変量のうちの一方で極端な値をとるとき、対応するもう一方の値が平均に近づく傾向があること。これは統計学上の明白な事実。
 例えば、会社で極端な業績不振の年の翌年は、ややよくなることが多く、反対に、大もうけをした年の翌年はそれほど利益が上がらない、というのは統計的に正しいこと。
・回帰の誤謬
 単なる統計学的な回帰現象に過ぎないものに対して、複雑な因果関係を想定したり余計な説明をしてしまうこと。
 例えば、子供をしつけるのに叱るよりも褒めた方が効果が高いことは心理学的に認められている。しかし、実際には、回帰効果により悪い成績のあとには、それより良い成績になるのだが、親は叱った効果によるものと勘違いしてしまい、叱る方が効果が高いと錯覚する。これを回帰の誤謬という。

(ここまでの感想)
TOEICの点数が一本調子で上がらないもの、回帰効果で説明できてしまう。しかし、努力が足りなかったのに回帰効果を言い訳として、反省しないのも困る。物事を正しく認知するのは難しい。