さあ才能に目覚めよう(感想)

本書を読んで自分のパラダイムシフトが起きたことは次のことである。

弱点を克服することは、失敗を回避する助けにしかならず、すぐれた成果を収める助けにはならない。

本書を読むまでは、自己研鑽というと、どうしても失敗を恐れるため、自分の欠点を直す方に目が向きがちであった。

もちろん仕事上どうしても必要とされることに関しては、努力して人並みのレベルまで上げる必要がある。しかし、それだけでは傑出した存在にはなれないと書かれている。

本書では、他人から優秀だと思われる人と、並の人だと思われる人の違いは、小さいとしている。例えばプロ野球選手で打率2割7分の選手と3割2分の選手の年間のヒット数の違いは、年間の打席数は約500なので、その差はたった25本である。そして、その小さな差を埋めるためには、自分の強みを活かさなくてはならないとしている。イチローで例えると、俊足を活かした内野安打にあたる。

プロゴルフの石川遼を見ていると、自分の才能を意識してゴルフをしていることが分かる。石川の優れている点は、思いっきりの良さである。どんなに調子が悪くても、そしてコースがどんなに狭くて、ラフが深くても、ドライバーを多用して、ばんばん飛ばしていく。そして、うまく行けばバーディーを量産でき、優勝圏内へ食い込むが、ダメだと予選落ちを繰り返す。

しかし、このやり方がいまの実力で最大限の結果を残すためには、もっとも優れたやり方だ。ボギーを恐れて、安全運転のゴルフをしていたのでは、バーディーを取れない。バーディーを取れなければ、優勝できない。見ている方も毎回予選は通るが上位に食い込めないゴルフよりも、たまに優勝争いしてくれるゴルフの方が、ワクワクする。本当はホールによって守るホールと攻めるホールを、使い分けられればいいのだけど、そういうゴルフをすると、波に乗れないことを本人は分かっているのだろう。

あれだけ世間から注目されれば、失敗を恐れて、ちっちゃなゴルフになるのが普通だが、堂々と自分のプレースタイルを貫ぬいて、今年も勝利を挙げるのだから、たいしたものである。年が2倍違うおじさんも、遼君を見習らって、失敗を恐れずもっと自分の強みを活かす努力をしなくては・・・