バブル崩壊後のアメリカの景気、どこまで悪化するのか?

現在の経済問題でみんなが気にしているのは、アメリカの景気がどこまで落ち込むか?であろう。そしてそれは適切な対策がとられるかどうかにかかっている。そこで日本のバブル崩壊後の状況と対応をリチャード・クーの本(日本経済を遅う二つの波)を参考にして、簡単にまとめてみた。

日本のバブル崩壊後の状況は、対策がお粗末で不況が長く続き、国の借金ばかりが大幅に増えたというイメージがある。しかし、国民を守るという点では成功したと言えなくもない。

それは失業率が5%台で高止まりしたという点である。http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3080.html
リストラとか騒がれたが、主要国に比べて結構低く推移していたのである。

なぜ失業率を低く抑えることができたのか?それは、財政出動で民間需要の低下を補い、GDPの低下を防ぐことで雇用を守ったからである。そして、そのことにより住宅ローンの返済を確保し、住宅関連の債権の著しい悪化を防いだのである。

もう一点は、銀行に公的資金を注入して、貸し渋りを緩和したこと。ただし、日本は注入するのが遅かった。それが景気回復に時間が掛かった原因の一つである。92年に宮沢喜一首相が注入しようとしたらしいが、マスコミが「高給の銀行員を血税で守るのか」と反対したために、97年まで先送りされた。

アメリカはもう公的資金の注入は決めたので、次は景気対策として、公共投資などの財政出動ができるかが、一つのポイントではないかと思われる。クー氏によると、バブル崩壊後は「バランスシート不況」という状態に陥るらしい。

これは、バブル崩壊などによって企業の資産価値が下落した場合、企業がバランスシートの状態を回復させるために負債を圧縮し、個人も貯蓄に励むため、企業の設備投資や個人消費が落ち込むことにより不況になること。いくら金利を下げても民間の資金需要が上がらず、だれもお金を使わなくなるので、対策として大規模な公共事業が必要になる。

注意点は、財政赤字の拡大を恐れて、政府の財政出動が中途半端になることである。やるなら徹底的にやらないと、財政出動を絞った途端に、景気が腰折れし、なかなか回復しない。日本も橋本政権の時にこれをやって、一度失敗している。

ただしアメリカ人と日本人の気質の違いもあるので、この状態にアメリカがなるかは一概には言えないが・・・。「民間の資金需要がある・ない」という前提をきちんと把握できる、できないで、経済対策の有効性が変わってくるのは間違いない。

今後アメリカがどんな対策を打ち出してくるか見物である。

今日の賢く生きるための言葉
歴史に学ぼう