「戦後最悪の危機」の意味

今回の金融危機のことを、ロバート・ルービンからジョージ・ソロスまで、口を揃えて「戦後最悪の危機だ」と言っているが、その意味が分かった。(以下の本より)

アメリカの住宅ローンは、個人に対して貸すのではなく、家に対して貸されたことになっている(ノンリコースローン)。つまり、住宅を銀行に返せば、借り手はそれ以上ローンを返す必要がないのである。よって、住宅価格がローン残高を下回ったら、ローンの借り主は、ローンを返す余裕があっても、住宅を銀行に明け渡す人も出てくる。

そうなるとますます住宅が売りに出されて、住宅価格も下がり続ける。そうなると次に起こる問題は、さらなる個人消費の低迷である。

なぜなら、アメリカ人が将来に備えて貯蓄をしないのは、家を貯蓄代わりにしているからだそうだ。アメリカでは「大恐慌」以来、住宅価格が下落したことがなかったらしく、アメリカ人はある年齢になったら、家を売って、そのキャピタルゲイン(売値と買値の差額)を老後の資金としていたみたいだ。

よって、今後アメリカ人は猛烈な勢いで、貯蓄をし始めることが予想され、アメリカのGDPの7割を占めていた、個人消費は猛烈に低下する。

今まで、製造業が弱かったアメリカは、金融と旺盛な個人消費で成り立っていた。経済を支えていた2本柱が崩れたのだから、ダメージは相当大きいだろう。

この本が出版されたのは今年の6月だ。今回の金融恐慌の重篤さと公的資金の注入の必要性まで書かれていた。その頃に読んでいたら、株を全部処分してたかも。その当時に、この本を読んで、今の状況が起こることを、自分が予想できたかどうかは分からないが、「知らない」ということは恐ろしいことだ。

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