勝間和代の日本を変えよう

勝間和代の日本を変えよう Lifehacking Japan

勝間和代の日本を変えよう Lifehacking Japan

本を読んだ感想

勝間和代の日本を変えよう」を読んでから、色々な考えが浮かんできた。今まで、経済のグローバル化に伴う問題、少子化問題ワーキングプアの問題については、新聞等でそれなりに知っていたつもりであった。しかし、今までそれらの問題に対して

             「自分にはあまり関わりがない」

という感覚でしかなかった。しかし、本書を読んで意識が変わった。

今まで、「日本の未来は暗い」という考えは持っていた。本書を読むと、その原因が上記の問題が密接に絡み合っていることが、理解することができる。年金問題、医療費問題、非正規社員の増加、格差社会、貧困、治安の悪化は上記の問題から生じている。

そしてこれらの問題を解決するには、膨大な税金が必要である。年金、医療も税金投入、貧困層の拡大で生活保護に対する費用も増大。治安維持にもコストがさらに掛かるようになる。

それに対して、貧困層の拡大で税金が取れる人が限られてくる。そうなると中間層以上は高齢者と貧困層の両方を面倒見なければならなくなり、かなりの税負担を強いられる。

勝間さんの本を読んでいる人達は、自分の能力をより高めて、社会で中流以上のポジションをキープしたいと思っていると思う。私もそう思っているし、もっともな考えだと思う。

しかし、本書を読むと、努力して正社員の仕事を得たはいいが、ストレス溜めて、毎日夜遅くまで働いて、給料をそれなりにもらっても、税金でがっぽり取られる。多くの犠牲を払って働いても、見返りは少ない世の中になるのではないかと思われる。

そろそろ日本の将来をどうするか、真剣に考えるときが来たのではないか。競争社会をサバイバルして、ストレス溜めて生きていくのか? それともワークシェアリング等を導入して、みんなで協力しあって生きていくのか?

個人的にはワークシェアリングの考えに賛成だ。給料は下がっても、自分の時間は増える。家族との時間も取れる。子供や親の面倒も見れる。

ワークシェアリングまで行かないとしても、せめて同一労働同一賃金を早急に目指すべきだろう。多少正社員の給料は下がると思われるが、格差社会、貧困の増加をなんとか食い止めなくてはならない。

そもそも日本で家族を維持するのに大変なのは、教育費が高いからである。大学の授業料が無料になれば、そんなに給料を稼がなくても、十分暮らしていける。

日本政府は、夫婦共働きの世帯収入を500万くらいに設定して、その収入でも十分生活していけるだけのシステムを作るべきではないか?。経済対策でいくらお金をばらまいても、将来につながる芽はほとんど生えてこないと思う。



以下 本書の抜粋

はじめに

人は、自分の幸福だけを追求していては、幸せになれない。自分以外のことへと関心を向けることが幸福の秘訣(バートランド・ラッセル


本書の目的
自分たちの幸福のために、日本に対して、また世界に対して、少しずつ自分の生活の中でよいことを始めませんか、という呼びかけ。


勝間和代が「日本を変える」ときの、方針としたい4つの原則
・人々には基本的には悪意はない
・多くのことを一度に変えようとしない
・思想や主義にこだわらない
・短期的な利益よりも、長期的な安定性を重視する


社会全体を変えていくことは、私たちの日常生活や行動、思考様式を少しずつ、変えていくこと。

第一章 若い人が暗い国

悲観と楽観

(1)悲観
◆若年層は将来に悲観的、高齢者は楽観的
◆現在は技術革新による生産性の向上やグローバリゼーションのおかげで、供給過多の状態。その結果、雇用がだんだん限られてくる時代→終身雇用が望めない
◆日本の成長は鈍化。成長期に全体が底上げされることで解消されてきた資本主義の問題点があらわになってきている→格差の拡大、絶対的貧困の増加
◆日本の人口は2004年でピークを打ち、すでに減少に向かっている。
・年金を含めた福祉制度→負担大きく、将来の見返り少ない
・社会に対する発言力→高齢者が数、経済力ともに大きいので、発言力が強いが、逆に若者の発言力は弱くなる→若者の意見が社会に繁栄されない
(2)楽観
◆いずれ世代交代が起きる
◆上の世代を含めて、危機感は以外に幅広く共有されている
→必要なのは  ・問題意識を束ねる機会を得ること  ・解決の方向を見失わないこと
◆現在は世界規模で大きな変化が起きている
・変化はつねに若者に大きなチャンスをもたらす
・個々の力をしばる条件は減っていき、創造性がより発揮できる環境に変わっていく→今のうちに力を蓄えておく
◆組織や国が変わる前に、すでに個人が未来に向けて走り始めている→勉強法ブーム

職場の憂鬱

(1)「勉強法ブーム」が示すもの
ライフハックを追求→自身の生活や仕事を、気の利いた手段で、もっと快適に効率よくする
◆馬鹿みたいな長時間労働から逃れるためには生産性を上げなければならない
→仕事以外の人生時間を作るための勉強

(2)かなり「やばい」日本のビジネス力
◆ビジネスの面では、日本の個々の能力・競争力は決して高くない
・日本と比べてアメリカのビジネス現場は、スピード感覚が2、3倍違う
MBA卒業生の数が2桁違う→管理職のレベルの違い

(3)効率の良さと競争力のバランス
◆仕事と余暇のバランス
・余暇の時間を広げるために、仕事の効率を上げる
・競争のような外部環境がないと、実力を向上しようとしない
・日本は他国と経済競争という側面で、生存競争を戦っている

(4)上司世代の問題
◆上司世代の最大の問題→「努力至上主義」への信仰
・仕事上の問題を、労働時間の長さで解決させようとする
・問題解決の手法を知らない→転職することがなかったので、あまり勉強していない

3つの変化

(1)情報の革命
◆ITの発達と普及
・変化のスピードの加速
・個人の持っている情報を、開示し、共有し、既知化しようとする流れ

(2)「クリエイティブ」の必要性
◆正社員に求められているのは創造性
・創造性のいらない仕事は低賃金で賄える
・ビジネスで求められる創造性→従来の問題設定を疑うこと、問題をみずから設定して解を見つける力、と定義できる
・日本の諸問題は問題設定自体に誤りがあるのでは?→みんな薄々気づきだした
・ラテラルシンキング

(3)フリーランス志向の高まり
◆組織に依存しない人たちの増加
・組織の不自由さ
・自己研鑽志向
・終身雇用が保証されない
・変化への適応力を身につけるのが、一番の安定

若者たちを明るくしよう

(1)なぜ若者たちは暗いのか?
・日本というシステムの制度疲労の問題→若者の意見が反映されない
(2)今の日本に変化を起こすキーワード→衆人の知恵
・制度や組織があてにならないとき→あてにすべきはたくさんの人の知恵の集合体
・今の若者たちの弱点→日本の主流の制度や組織から排除されていること
・マスコミに頼らないで、ITを用いて自分たちの主張をまとめ、社会に反映させる

第二章 西原理恵子さんと、最強ワーキングマザー対談

(1)女の人は働いた方がいい
・自立→離婚できる
・忙しい→逆にくだらないことで頭を悩ませなくなる
育児ノイローゼになりにくい(社会との関わりがあるから、気を紛らわることができる)

(2)日本は子供に冷たい国
◆子供に対する税配分が少ない(GDP比 日本0.7% ヨーロッパで一番高い国4.0%)
・教育コストが高い
・保育園が少ない
・高齢者対策費の5分の1
・海外に移住する人がでてきている

(3)男性のサポート
・男は、子供が熱出たという理由で、会社休めない→女性ばかり休む事になる→女性が会社に居ずらくなる
・家事の分担

(4)おばあちゃんの活用
・子育てに他者の力をかりる

(5)手に職を持て
・自立→離婚できる

第三章 女性が産める、働ける国へ

(1)正しい現状認識
◆女性は差別されている
・女性の管理職の割合、平均賃金→日本は非常に低い
・日本のジェンダー・エンパワーメント指数(女性が政治・経済の意志決定にどれだけ参加しているか)→アジア最下位
・日本企業は女性にあまり投資しない(昇進の機会も少ない)→会社で重要な仕事を担えない→育児休暇などを充実させて女性をつなぎ止めようとしない

(2)女性を活用しないデメリット
アメリカのGDPの増加分は、ここ30年女性が稼いでいる→日本もGDPを上げるには女性を使うしかない
・資源のない日本→人的リソース(資源)が命
・日米ともに、女性採用比率が高い企業のほうが、競争力が高いという事実
・現在の閉塞感→今の男性社会では破れない→もっと女性を社会へ

(3)少子化対策をいかに仕組み化するか
出生率2.03を目指した社会上げての仕組みの変換
出生率の低下を克服した国→女性の社会進出が進むほど、少子化の流れが止まった
少子化問題の解決と男女共同参画問題の解決はセット
・日本の少子化は取り返しの付かないところまで来ている→そろそろ子供を産める女性の数が減ってくる
・なぜ、外資系では女性の活用(ダイバーシティ)が進んでいるか?
→課長レベルからダイバーシティー推進が評価制度の中で義務になっている

◆国でも、企業でも、個人でも、望ましい方向(女性の活用など)の行動は、褒めたり、利益を与えたりすること、あるいは逆に、望ましくない方向(長時間労働など)にはペナルティを科すことを、制度として盛り込んでいく

(4)旧モデルと新モデルのはざまで
◆現状への女性の不満が、改革に結び付くようなかたちで、束ねられていない
・差別されている女性が、社会から静かに退出している
・それぞれが抱えている問題が多様→議論として錯綜
内助の功モデル→依然として強い影響力

◆専業主婦モデルは今後、どんどん苦しくなる
・親世代にあったの3つの安心
  自宅の値上がり→住宅費がほとんどかからなかった
  夫の給料→年功序列で上がっていった
  夫のジョブセキュリティ
・子育てが一段落してから就職活動しても、いい働き口がない
・離婚したくても離婚できない(DVなど)→人生を無駄にする

(5)家事の負担に関するヒント
アウトソーシングの活用
・夫の協力

(6)家庭をもつメリット
・結婚は幸福でありえる
・子供がいると、自尊心が高まる→強くなれる
・子供は、職場では学べない、いろいろな学習機会を提供してくれる

(7)家族省の設立
・現在の家族政策→厚労省文部科学省財務省と管轄が多岐にわたっている→総合的な対策ができないでいる
・ヨーロッパ諸国に比べ、家族政策費の対GDP割合が少なすぎる(日本0.7%、ヨーロッパ2〜3%)
→もっと予算を引っぱってくる
男女共同参画少子化、女性の家庭と仕事の両立→すべてが絡み合っている

第四章 雨宮処凜さんと、脱・ワーキングプア対談

(1)フリーターの現状
・フリーターの年収→体力がある20代がピーク
・30代→体を壊したり、鬱病なんかになって、働けなくなる
・24歳以下の非正規雇用→50%
・フリーターを積極的に正社員にしたい企業→1.6%(経団連のアンケート)
・フリーター第一世代→もう40代
・企業は最高益を出しても、非正規社員の給料は上げない

(2)なぜ貧しい若者は同情されないのか?
・みんな苦労して正社員のポジションを掴んでいる→フリーターは努力が足りないという意見→ほんとうにそれだけなのか?

(3)若者は中高年の割を食っている
・政治家で、この問題を真剣に考えている人→社民党の一部の議員、共産党
・企業→親の面倒を見るから、親がかりで生きていけ
・親に頼れない人→ネット難民

(4)10年後の爆発
◆我々(30代前半)の親が頼れなくなったとき→一斉にフリーターの野宿化がすすむ

(5)勝てない若者
・フリーターが社会構造の話をしても、「社会のせいにするな!自分の努力が足りないだけだろう」で終わってしまう
・もっと社会の構造的な問題だということをもっと周知徹底する必要がある

(6)正規・非正規の均等待遇
・正社員側から見ると→既得権益を脅かされる
・法律での規制が必要
・登録型派遣は禁止しろと運動しても変わらなかった→秋葉原の事件後→日雇い派遣禁止の動き→運動するよりテロを起こしたほうが有効?→こんな社会でいいのか?
労働基準法違反→非正規の方では野放し状態
・フリーターは年収300万が望みだったりする(現状平均106万円→今後、生活保護費の莫大な増加が予想される)

(7)国力が単純に下がっている
・単純問題として、非正規社員が増えると、消費が増えない→内需が拡大しない
景気対策で公共事業増やすよりも、ニートやフリーター対策したほうが有効
・なぜ海外では若年雇用問題を解決できたのか?
→若者の生存権を切り崩すことが、全世代にとって悪いことだ、ということが広く認識されている

(8)貧困という絶望
◆貧困の生まれる課程
湯浅誠の「五重の排除」
 ①家族福祉からの排除→何か困ったときに実家があてにならない
 ②教育課程からの排除→お金がなくて高度な教育が受けられない。またはドロップアウト
 ③企業福祉からの排除
 ④公的福祉からの排除→若いと行政からも相手にされない
 ⑤自分自身からの排除→こんな自分は生きている価値がない→自殺
・コミュニケーション能力の欠如→学歴がよくても正社員になりにくい

◆機会均等、格差是正のためには?
・教育機会の平等→教育の無償化、奨学金の充実
・社会人教育の道を開く

(9)まずは知らしめること
・現状を幅広く知ってもらう
・均等待遇、最低賃金の引き上げ、労働基準法違反の徹底遵守をもっと主張する

第5章 NYで考えたポスト資本主義

1)インセンティブ体系のの不全
共産主義が滅んで資本主義が生き残った理由→努力が報酬として報われるから
インセンティブ体系は、経済全体が成長しているときは、よく機能する
→成長が小さくなると、社会の上方移動へのチャンスが減る→格差が固定
アメリカ→ダイナミックな階級移動が可能な社会
・ヨーロッパ→階級がある程度固定→エリートが下流階級のことを考えて、社会全体の責任を持つ
・日本→・雇用の流動性が低く、階級移動が容易ではない  ・ハイクラスが下流階級を守る仕組みになっていない

(2)NYの最新風景
アメリカは世界の資本主義のチャンピオン
・高い労働生産性と資本生産性(日本はアメリカの7割)
・日本よりすごい格差→貧困対策があまりにも貧弱
・病的なまでの大量消費型資本主義→肥満が深刻
→いまのNYは、アメリカ資本主義の限界を色濃く感じる街

(3)グローバリゼーションの行き詰まり
・NYの格差は序の口→アジアやアフリカの貧困の方が深刻
・世界の貧困を何とかしないと世界の平和も維持できない
・グローバリゼーションは、世界の貧困対策にも世界平和にも、必ずしもつながらない