中国旅行記13 10日目「中国最後の日」

2010年1月1日(金)晴れ             1元=約14円

10時前に目が覚めた。ベットでゴロゴロしてたら掃除のおばちゃん達が入ってきた。テーブル上の6本のビールの空き瓶を見て、「あらまーこんなに飲んじゃって」という感じの言葉を中国人のヤンに掛けていた。

韓国人の主も今日帰国するとのことで、荷物をパッキングし始めた。主の荷物はかなり多い。飛行機に乗るときに追加料金を請求されるのではないか?と思うほどである。

主はプロのカメラマンを目指しているらしく、今まで取った写真をパソコンで見せてくれた。プロの写真だった。主のレンズを通すと、上海がパリのようなかなりおしゃれな街に見えた。

最後にみんなで写真を撮ることになった。韓国人、中国人、香港人、日本人の4人が並んだ写真。外見上は全然区別が付かない。みんな日本人のように見える。そしてみんなとメールアドレスの交換をした。

みんなとお別れを言い合って、主が大きな荷物を引きずって部屋を出て行った。私も荷物をまとめ始めた。ヤンも今日杭州へ向かうらしい。1月半ばくらいまで自由に中国国内を旅行するそうだ。香港人のChakは明日帰国するとのことであった。

そして私も部屋を出た。ヤンに「また中国に来てね」と言われたので、「I will come back again!」と答えた。本当にまた中国に行きたいと思った。

ヤンが私の中国に対するイメージを変えてくれた。このことは今後の私の人生に大きな利益をもたらしてくれるだろう。どこかの国のバカ首相が提唱しているような日中韓の共通通貨を出す必要はないと思うが、今後本格的な少子高齢化社会を迎える日本にとって、いろいろな意味で中国はますます重要な国になると思う。

フロントでデポジットの100元を返して貰い、1元で荷物を預かって貰った。再び肉まんの美味しい店に行った。元旦でもいつもどおり営業していて、相変わらず行列ができていた。一番高い「薺菜肉包」(1.2元)を買った。しかし今回は冷めている肉まんを渡されたので、残念なことにおいしさが半減していた。

コンビニでオレンジジュースを買った。棚には6.5元と書いてあったので、ちょうどのお金を出してお店を出ようとしたらレジのおばちゃんに呼び止められた。どうやら値段が6.5元じゃないらしい。中国で金額を言われるも理解できない。「チンシエイーシャ(書いて下さい)」と中国語で言ったら、ちゃんと通じだ。値段は7元だった。

上海蟹が諦められなくて、近くの美食街と呼ばれる通りを歩くが、手軽に食べれそうな店は見つからなかった。仕方なく上海美術館に向かった。

上海美術館も元旦だからかどうか分らないが、無料だった。水墨画が多く展示されていた。中国の芸術性はまだまだだなーと思った。

お土産を買いに新天地に徒歩で向かった。おしゃれな雑貨やお土産が売っているのだが、いまいちぱっとしない。思い切ってタクシーに乗り、景徳鎮の専門店に向かった(19元)。

中国人はタクシーに乗るとき、多くの人が助手席に座る。今回ガイドブックを見せながら場所を説明するために私も初めて助手席に座った。中国人ドライバーは車線を無視して、レーシングゲームのようにどんどん前の車を追い越していく。スリル満点だった。

中国では元旦でも店は普通に開いている。景徳鎮専門店もオープンしていた。店内でどれを買おうかじっくり見て回った。店員から声を掛けられることはないので、落ち着いて見ることができた。

白磁器と呼ばれるすこし青みがかかった白色の陶磁器のフリーカップを買った(2個セットで176元)。「これ下さい」と私が中国語で言ったら、「これですか」と店員のおじさんが日本語で答えたのには驚いた。

人民公園の地下鉄の駅まで歩いて向かった。途中、地元の人でごった返していた食料品店のお茶コーナーでお茶を買った。ここのおばちゃんも日本語が話せた。「これを50gとこれを一箱下さい」と日本語で言ったら、一発でちゃんと理解してくれた。碧螺春茶という緑茶(50gで60元)と大紅袍茶(15gで35元)を買った。どちらのお茶も味に品があって美味しかった。日本で高いお茶を買わないので私の評価は間違っているかもしれないが、中国の高級茶の味には品を感じる様な気がする。

腹が減ったので一階が総菜店、二階がレストランになっている排菜単という店に入った。蟹の小籠包(18元)と蝦蟹担面(38元)を頼んだ。蟹の小籠包は、肉汁に蟹のダシが出ていて最高に旨かったが、担面はスープがいまいちだった。

14時を過ぎていたので、急いで宿に戻って荷物を拾った。時間がないのでタクシーでリニアモーターカーの駅に向かうことにした。タクシーはいっぱい走っているのだが、みんな客を乗せていた。

ようやく空のタクシーを拾い、リニアの駅である「龍陽路站」と書いたメモを運転手に見せた。しばらく走った後運転手が中国語で「空港まで57元で行くよ」みたいなことを言った。リニアの料金が40元なので妥当な金額かなと思い、一応念のため信号で止まったときに「57元」と紙に書いて運転手に見せたら、軽く笑われた。

あとから調べたら上海市内から浦東空港までタクシーで150元くらいかかるらしい。桁が違うので運ちゃんは私のメモを見て笑ったのだろう。

タクシーの運ちゃんは多分私のことを金のない貧乏旅行者だと思ったに違いない。リニアの駅のすこし手前でメーターを止めてくれた上に、メーターが41元の所を40元にまけてくれた。親切な運ちゃんだった。

リニアの駅はすいていた。エアチケットを見せると割引きがきくので、それで2等のチケットを買い(40元)、荷物のX線検査を受けてからホームに入った。

このリニアは最高時速438kmで走るのだが、けっこう揺れる。今回は8分で空港に着くのだが、これに1時間も乗ったら酔うだろうなと思った。後ろの席では中国人ガイドが流ちょうな日本語で日本人観光客にいろいろ説明していた。「みんな頑張って日本語勉強してくれたんだなー、大変だったろうな−」と思った。

空港はさすがに元旦ということで空いていた。JALのチェックインカウンターで「エコノミーは満席です」と中国人スタッフから渡されたチケットはビジネスクラスのものであった。私の服装はタクシーの運ちゃんが同情してくれるほど汚れてみすぼらしかった。靴も10日間さんざん歩き回ったので砂埃をかぶっていた。「よりによってこんな格好のときに・・・」
とりあえず中国旅行必需品であるウエットティシュで靴を拭いた。

上海はとても暖かい穏やかな元旦だが、名古屋は強風で寒いらしい。私の乗る便の目的地が天候不良により変更される可能性があることをしきりにアナウンスしていた。そして搭乗時間になったので、座席番号3Aと書かれたチケットを握りしめて、真っ先に搭乗口に向かった。

こうして10日間の中国旅行は幕を閉じた。