中国旅行記11 9日目「上海での大晦日」

2009年12月31日(木) はれ        1元=約14円

朝起きて、さっさと着替えて外に出た。今日は大晦日だけと、こちらではいつもと変わらない。大勢の人が足早に会社に向かっていた。

まず地球の歩き方にのっていた肉まんの有名店に徒歩で向かった。少し並んで鮮肉包とおこわのシュウマイを買い(4元)、道ばたですぐ食べた。肉汁の旨みがなんとも言えず、鮮肉包は評判通り旨かった。

今日は上海のアートを楽しもうと思っていたので、まず上海でも有数のアンティークショップ「Annly's Antique Warehouse」へ向かった。「人民公園駅」から地下鉄1号線に乗ること30分。「外環路」駅で降りて地上に上がる。周囲は工場が建ち並び、町中の風景とは一変していた。

大雑把な地球の歩き方の地図と番地を頼りに何とか目的のショップにたどり着いた。ショップと言うよりは工場だ。門が閉ざされているので、最初「今日は休みか」と思って帰ろうと思ったら、門の脇から守衛さんが出てきて、門を開けてくれた。

そしてとぼとぼと工場の中に向かって歩き出したので、私も後をついていった。そして事務所の前で「お客さんだよ」という感じで、中の人に向かって言った。

中から若い女の人が出てきた。そして工場内の展示場を案内してくれるという。私はてっきり普通のショップかと思っていたので、まさか大塚家具の展示場みたく係の人がついて回るとは夢にも思っていなかった。

もちろんここでーク家具を買う気はさらさら無い。緊張しながら展示場を見て回った。客が私しかいないから余計緊張した。あからさまに冷やかしの態度を取るとまずいと思ったので、いかにも「何かアンティーク捜してます」という雰囲気を漂わせ、気に入ったものがあったらじっくり見るふりや値段を聞いたりして、一通り見て回った。

普通の大きさのチェストで確か5万円くらいだった。年代によって値段が違うのだろうが、意外と安いなという感じがした。

係の女の子は工場の門まで見送りに来てくれた。お礼を言って工場を出たら「You are welcome」と笑顔で答えてくれた。とても感じが良かった。

再び地下鉄に乗り、中山公園近くの人気ラーメン店に向かった。12時前だがすでに行列ができていた。今回もまた地球の歩き方お勧めのメニュー、「辣肉拌面」(8元)を注文した。伊勢うどんのラーメン版という感じだ。濃い色をしたスープが少し入っていて、字のごとくかき混ぜて麺全体にスープを絡めてから食べる。
スープの甘辛さが絶妙で、これまた旨かった。

上海交通カードの残高が少なくなってきたので窓口でチャージしてもらった。25元出したら、怒った様な感じで中国語で何か言って、5元投げ返された。10原単位しかチャージできないみたいだ。公務員の接遇態度はまだまだ悪そうだ。

再び地下鉄に乗って、「五角場800号」という現代アートのギャラリーが集まったビルに向かった。残念ながらほとんどのギャラリーが閉まっていて、ビル内は閑散としていた。

疲れたので1階にあった「博茶堂」というお茶屋に入った。店内の内装はとてもセンスが良く、入った瞬間「ここは高そうだな」と思った。あまり日本人観光客が来なさそうな場所にあるのだが、店員は日本語がしゃべれた。

案内された席に座って、メニューを見て驚いた。すべてのお茶が15gぐらいで150元前後する。「ボラれてるのか?」。しかし場所的に日本人観光客がそう来るとこではない。日本語がしゃべれる店員がいるということは、日本人が来るのだろ。そうなると上海に住んでいる日本人駐在員となるが、駐在員に対してアコギな商売はしないだろうと考えた。

そして思い切って1994年物のプーアル茶(168元)を注文した。小さな急須に茶葉が入れられ、最初の一杯は店員さんが中国流の作法で入れてくれた。おちょこを二回りぐらい大きくしたような小さな茶碗にお茶が注がれ、思い切って一気に飲んだ。はっきり言って、プーアル茶を普段飲まないので旨いのかまずいのかよく分らない。
たぶんこれが旨いプーアル茶なんだろう、という情けない感想しか書けない。

せっかく168元も払うので、中国風のハイセンスな店内の雰囲気をじっくり堪能することにした。飾ってある絵がとてもよかった。一つ不満なのは茶菓子の味がいまいちだったことだ。やはり菓子のレベルは日本の方が数段高い。せっかくいい値段取るのだから、日本製の菓子でも出したらどうだ、と思った。

何杯も茶を飲んだので、トイレに行きたくなった。「トイレはどこですか?」と中国語で聞いたら、ビルの共同トイレを教えてくれた。中国に来る前に、使えそうな中国語のフレーズをいくつが練習したが、結局、今回の旅で一発で通じた私の中国語は「これ下さい」と「トイレはどこですか?」の二つだけであった。中国語の発音は難しい。

ビルのトイレは結構綺麗だったので、ついでに大の方もすることにした。終わってホッとして、思わずおしりを拭いた紙を日本のように便器の中に捨ててしまった。中国ではすぐ詰まるので、拭いた紙は横に置いてあるゴミ箱に捨てるのが一般的だ。詰まらないかドキドキしながら水を流した。無事流れた。

茶代の支払いをして店をでた。後でネットで調べたら、「ぐるなび上海」で予算が約150元となっていたので、特にボラれた訳ではなさそうだ。日本円で2100円もする茶を出す茶屋が上海にあるとは、正直驚いた。日本では高級ホテルでもせいぜい1500円止まりだろう。

地下鉄で「虹口足球場駅」まで戻り、多倫路文化名人街という1900年前半の雰囲気を漂わせている商店街に向かった。下校途中の小学生がたくさん歩いていた。みんなおやつを食べながら歩いていた。

昔ここら辺に日本人租界があり、魯迅と親交の篤かった日本人内山完造の設立した「内山書店」もこの通 りにあるらしい。私は見事に気付かず、スルーしてしまった。

だんだん日が暮れてきた。中国での最後の夕食なので上海蟹が食べたくて、一人で入れそうな店を探した。以外と上海蟹を食べさせる店がない。粘り強くあちこち歩いたが、海鮮料理の店はあるが蟹を出している店はなかった。

疲れたのでマックでコーヒーを飲んだ(8元)。結構高校生くらいの若者で混んでいた。目の前のテーブルで女の子が一人、携帯いじりながらセットメニューを食べていた。だいたいセットメニューが23元ぐらいなので、上海のアッパーミドル層の所得は日本平均の3分の2くらいかな?と勝手に推測した。

再び地下鉄に乗り、宿に戻った。地下鉄はかなり混んでいた。中国人は地下鉄が駅を出発したら、次の駅で降りる人が早々とドアに向かい降りる準備をする。目の前の中国人の若者がドアの方へ移動したので私も彼の後ろを付いていき、降りる準備をした。駅に着いた。降りる人を降ろす前に、乗る人がどんどん乗ってきた。中国人の彼も一歩も前に進めない。私たちを降ろすことなく、ドアが閉まり、再び地下鉄は走り出した。

私の目の前には先ほどの駅から乗ってきたインド人の家族がいた。インド人の女の子を始めて間近で見たが、彫りが深くて、色は浅黒いがけっこう綺麗で、とても美人だった。

次の駅でなんとか降りて、向かえのホームから逆方向の電車に乗った。宿の近くのラーメン屋でキノコがたっぷり入った鶏ガラスープのラーメンを食べ(10元)、宿に戻った。