中国旅行記6 5日目「蘇州」

2009年12月27日(日)くもり                1元=約14円

6時過ぎに目が覚めた。まだみんな寝ている。そおっと起きて、トイレに行き、洗面所で顔を洗った。トイレは綺麗だった。日本でも揺れる列車内のトイレは汚れていることが多いが、中国では人海戦術でこまめに掃除がされている。

昨日同様、廊下の折りたたみ椅子に腰掛けて、窓の外を眺める。高層マンションが建ち並び、発展途上国という感じがしない。廊下の椅子に座っていてただ一つ気になったのは、中国人はトイレを出たら扉を閉めないことだ。女の車掌さんがとおるたびに扉を閉めていっていた。

列車は定刻より約10分遅れの7:10過ぎに蘇州に到着した。北京から蘇州まで1370km。それを約9時間半で結び、そして10分しか遅れない。正直驚いた。

駅前のタクシー乗り場にはすでに行列ができていたが、人の行列以上にタクシーの行列ができていた。日曜日の早朝からみんなよく働く。すぐにタクシーに乗り込むことができた。

荷物を持ってうろうろしたくないので、蘇州で泊まるユースは一昨日のうちに電話で予約しておいた。予めメモに書いておいたそのユースの名前と住所を運転手に見せる。そしたら運転手はこのユースを知らなかった。

私に中国語で何か言ってきたが、私が中国人でないことが分ると、窓を開けて隣のタクシーの運転手に場所を聞き始めた。大まかな場所が分ったのだろう、タクシーはようやく発進した。

私も心配になって地球の歩き方の地図で進んでいる方向を確認しようと思ったが、めんどくさかったので止めた。

タクシーの運転手は所々で止まっては、道ばたの人に大声で道を聞きながらも、一発で目的のユースまでたどり着いた。私も嬉しかったが、運転手も嬉しそうだった。料金はだったの13元だった。後から地図で確認したら、最短ルートでたどり着いていた。

ここでの宿泊先は、古民家を改造して2年前くらいにオープンしたばかりの蘇州明堂青年旅舎。付近は昔ながらの町並みと運河が広がっており、また蘇州の目抜き通り(観前街)にも歩いて行けるので、とても便利なユースである。

とりあえずフロントに荷物を預け、付近を散歩することにした。運河とそれにかかる橋がとてもきれいだ。しばらく歩いて腹が減ったので、目抜き通りに向かった。

まだどこもオープンしていないが、ナイキとか日本と遜色ない洋服店が並んでいる。南へ一本通りを変えると飲食店がたくさんあった。何気なくとあるラーメン店に入る。メニューはレジの後ろの壁に札がかかっているだけなので、私がしゃべれる数少ない中国語「我要チェイグ(これ下さい)」が通用しない。

メモに書くのもめんどくさかったので、「我要ネイグ(あれ下さい)」と一番右上の「蟹肉面」を指しながら言った。レジのおばちゃんは、なぜか非常に怒った表情で「蟹肉面か?」と中国語で怒鳴って聞いてきた(多分)。訳が分らなかったので適当に返事してお金を出したら、おつりを投げて返してきた。とても感じが悪い。この事件よりメニューがテーブルにないこの手の店では、めんどくさがらずにすべてメモを書いて注文するようになり、せっかく日本で練習した「我要ネイグ(あれ下さい)」はこれ以降使われなくなってしまった。

レシートをレジの脇で待機している店員に渡して、テーブルに着いた。すぐに「蟹肉面」は来た。とても美味しい。蟹肉がこんなにたくさん入っていて25元とは日本では信じられない。

ちなみにこの店の名は「朱鴻興」といい、蘇州でも有名店であることが後から判明した。そして「朱鴻興」「蟹肉面」のキーワードで検索すると、トップに出てきたブログの作者が私と同じ日にまったく同じものを食べていたので驚いた(そのブログに写真入りで蟹肉面が紹介されてます)。

次はバスに乗って、拙政園という世界遺産に登録されている蘇州で一番有名な庭園に向かった。観前街東側の最寄りのバス停「醋坊橋」からバスで駅方向に向かって、2番目のバス停で降りた(1元)。

ちなみに中国では「空調なし」のバスが1元。ありだと料金が倍の2元になる。蘇州よりもずっと寒い北京ではあまり「空調あり」のバスを見かけなかったが、蘇州では「空調なし」のバスの方が少ない。この日は寒かったので「空調あり」でもよいが、翌日はとても温かかったので空調があると暑い上に料金も倍取られて、なんか納得がいかなかった(バスの乗り口の所か運転席の上の掲示板に、このバスは1元か2元か表示してある)。

拙政園の入園料はなんと50元。日本並みの価格だった。ガイドサービス付きなので多くの中国人はグループを作って、ガイドに連れられて庭園を見てるが、私は最初単独で回り、途中で英語ガイドのグループがいたのでそれの後をついて回った。

そのガイドさんの英語はとても上手だったが、私の英語力では3割ぐらいしか内容を理解できなかった。そのグループの主なメンバーは韓国人だったが、みんなその説明を聞いて理解しているようだったので、ちょっと焦った。

拙政園は50元取るだけあって、かなりよい庭園だった。もし蘇州を1日で回るとしたら、拙政園と留園は外せない。

2時間ぐらいかけて庭園をじっくり楽しみ、バスに乗って宿まで戻った。パスポートを見せて、チェックインしたが、今停電しているためカードキーの準備ができないとのこと。とりあえず部屋まで案内してもらった。部屋のロッカーに荷物を入れ、私のベットの下の人がいたので「ハーイ」と簡単に挨拶して、トイレに行くために部屋を出た。

しかし、カードキーがないと再び部屋に戻れないことに気付いたが、出てしまった後では後の祭りだ。本当は疲れていたのでベットで休みたかったが、再び外に出た。付近をうろうろしているとビルの一階に「新島珈琲」という喫茶店があった。中国にも進出している「上島珈琲」のパクリかな?と思いながらも入ってみた。

入り口に立っているボーイが扉を開けてくれ、笑顔で私を迎え入れてくれた。中はかなり広く、案内された席のソファーはかなり綺麗で豪華だ。まるで高級ホテルのラウンジという感じだ。5日間履きっぱなしの汚れたズボンで座るのが、とても気が引けた。

メニューを渡される。料金は日本並みだ。紅茶(30元)とチョコトースト(15元)を注文した。紅茶はポットにリプトンのティーパックが2つ入れてあるものが運ばれてきた。こちらではリプトンが高級品なのだろうか?と思いながら、「謝謝!」と言ったら、笑顔で「ブークーチ(どういたしまして)」と言ってくれた。中国では安い店でも料理を持ってきたときに「謝謝」と言うと結構な割合で「ブークーチ」と返されることが多い。何か中国に対するイメージに合わなくて意外だ。

何度も店員がポットにお湯をつぎ足してくれたので、紅茶の付け合わせのひまわりの種をポリポリ食べながら、ついつい1時間ぐらい長いしてしまった。店内は満席ではないがけっこう人がいた。20歳ぐらいの若者のグループもちらほらあった。「蟹肉面」ですら25元しかしないのに、紅茶が30元するような高級店にこんな若い者が入れるなんて、蘇州の所得水準もかなり高いのだろうか?

バスで滄浪亭という蘇州最古の庭園に向かった。入園料は15元。入り口に向かう橋で、女の人に写真を撮ってくれと中国語で頼まれた。「イー、アル、サン、ハイ」と言ってシャッターを押したら、私の発音がおかしかったのだろう「リーベンレン(日本人)?」と聞いてきたので、「YES」と言ったら、「キャー日本人なんですか」と上手な日本語で話しかけてきた。

「いやーあなた日本人には見えないですねー」と日本語で言われて照れながらも、私も滄浪亭をバックに写真を撮ってもらい、「バイバイー」とお互い手を振りながら別れた。

この庭園は小さいのですぐ見終わった。

さらに南にバスで向かって塔と水門で有名な盤門景区に行くことにした。そしたらバスがなかなか来ない。寒いし行くのを諦めようかな−と思い始めた頃、ようやくバスが来た。

2つめのバス停ですぐ降り、大雑把な地球の歩き方の地図を頼りに入り口があると思われた方向に向かったが、そこには入り口がなかった。仕方がないので来た道を引き返し、盤門景区の反対側に向かって、無事入園することができた(25元)。

しかしここは広いだけでたいしたことなかった。バスが来なかったときに諦めれば良かったと後悔した。

盤門景区を出た後、疲れていたのでどこか店に入って休みたかったが適当な店がなかったので、バスで
観前街に戻った。

疲れたし、日が暮れてきたので早めの夕食を取ろうと、店を探していたら、昨日食べた鍋の写真が目に入ったので、迷わずその店に入った。

白いスープの鍋を頼んだ。そしたらどーん!とでかい鍋が出てくるではないか。この店は鍋専門店で、周りを見渡すと一つの鍋をみんなで突いて食べている。一人でいるのが気恥ずかしい。そして具材を一個一個頼んでいくシステムだ。とりあえず量が分らないので餃子とほうれん草を頼む。男の店員に「たったそれだけか」というような顔をされる。

出てきた具材の量がそれほど多くなかったので、さっきの男の店員にすこし見栄を張って、よく分らなかったが肉の中で少し高い「咸肉」を追加で注文した。しかし、これは固くて不味かった。すなおに「猪肉」にしておけば良かったと後悔した。後で調べたら咸肉とは豚肉の塩漬け干肉のことだそうだ。
帰りにコンビニで水を買って(1.5元)、宿に帰った。

フロントでカードキーをもらい、昨日シャワーを浴びれなかったので、さっそく部屋で着替えてシャワーを浴びに行ったら、お湯がでない。「なんだ、故障か?」と思い、あちこちのシャワールームに行くがどこも同じだ。「もしかして、ここのユースはずれ?」と思い部屋に戻ったら、シャワーは19時よりと書かれている看板が目に入った。

とりあえずベットに入って寝た。そしたらがやがやと若者グループが部屋に入ってきた。「日本人?」とへたな日本語で聞いてきたので「そうだ」といったら、「こんにちは」と日本語で挨拶された。向こうは台湾から来たグループらしい。昼間「ハイ」と挨拶した私のベットの下の人が日本人だと教えてくれた。

19時になったので、急いでシャワーを浴び、無料で使える洗濯機があったので、下着類を洗濯した。その日は一日中歩いたので、とても疲れ、下の日本人とほとんど会話もすることなくすぐ寝た。