中国旅行記5 4日目「北京最終日」

2009年12月26日(土)はれ(今日も寒い)        1元=約14円

早朝、例の韓国人女の子達の身支度をする音で目が覚めた。彼女たちは今日万里の長城へ行くとのこと。おととい交換したクリスマスカードには近いうちに日本へ行くかもしれないと書いてあったので、何かアドバイスができるかもしれないと思い、メールアドレスが書いてある私の名刺を彼女たちに渡して、別れを告げた。

私も着替えて、宿の周りを少し散歩した。この宿の周りは昔ながらの町並みが残っており、老人たちが多く住んでいるので、いくつか驚きの中国人の習慣を目撃することができた。

まずよく大きな音を立てて痰を吐く。北京の歩道にはよく凍った痰がべばり付いている。そして手鼻。老人が片方の鼻の穴を手で押さえて、ブーと思い切り息を鼻の穴から出し、鼻水をツーと鼻から地面に垂れ流している光景を何度か目撃した。ティッシュを使う習慣がないみたいだ。

日本人は公共の場所を汚してはいけない、というマナーがあるが、中国人は汚い物はどんどん外に出すという習慣があるようだ。食堂でも食べた後の鳥の骨などは自分の皿の上に置かずに、どんどんテーブルの上に出していく。

ここは中国なので日本人である私がどうこういうつもりはないが、これから中国人旅行者がどんどん日本に来るようになった時、これらの習慣はきっと日中文化摩擦の大きな要因の一つとなるだろう。

あと昔の家にはトイレがないのだろう。あちこちに公衆トイレがある。あるときそのトイレの一つに入ったら、鶏舎の鶏が鳥カゴの隙間から頭だけ外に出しているような感じで、男3人がしゃがんで頭だけ通路に出している光景を目撃した。これが噂の扉のないトイレだ。ただしこれらのトイレ、掃除はこまめに行われているので、思ったよりも汚くない。

宿の食堂に置いてあるフリーペーパーを読みながら無料の朝食を食べた。鳩山さんが国民に「マニフェスト守れなくてごめんなさい」した記事が出ていた。

部屋にもどり荷物をまとめ、チェックアウトした。フロントの人達は私が夜の列車に乗ることを知っているので、向こうから「荷物預ける?」と聞いてくれた。

東堂客桟、いいユースホステルです。次も北京に来ることがあったらまたここに泊まろうと思った。

近くのバス停からバスに乗り、北京動物園に向かった。バス一本で行けて便利だ。入園料はパンダ園込みのコンバインチケットで15元。パンダを見るがたいしたことない。白浜アドベンチャーワールドでパンダを見たときの方がよっぽど感動した。北京動物園はなんか昔の東山動物園という感じがして、たいしたことない。公務員のサービス精神のなさが表れている。一つだけ面白かったのは拍手をするとポールダンスをして最後にガラスの仕切りに跳び蹴りをしてくれるチンパンジーがいたことくらいだ。最近水族館ができたみたいだが、100元するのでパスした。
(この写真には5匹のパンダが写っています)
動物園前から地下鉄(2元)に乗り、昔ながらの商店街があるという「前門」に行った。メインストリートは最近リニューアルされ高そうな店ばかりだが、

そこから一本奥に入ると小さな商店がひしめき合っている。

とあるレストランの表に出してあるメニューを見ると、北京ダックが53元と出ていた。意外に安なと思い、その店に入ってみた。

まず北京ダックを注文した。半羽で53元。「他に何か」と聞いてきたので青島ビール(大瓶で7元)を頼んだ。量が分らないのであまりむやみに料理を頼まない方が賢明である。英語がしゃべれる店員が来て「北京ダックは30分くらいかかるけどいいか?」と聞いてきたので「OKだ」と答えた。

ビールを飲みながら店内を観察する。結構みんな北京ダックを食べている。春巻きみたいな皮にキュウリと一緒に巻いて食べるみたいだ。

そうこうしているうちに私の分が運ばれてきた。そしたら例の英語がじゃべれる店員が私のテーブルについて、肉をきれいに皮で巻いて1本1本サービスしてくれるではないか。他の中国人客にはそんなことしていない。最初に日本人か?と聞かれたので、「きっとサービス料とか取られるに違いない」と心の中で思いながらも、黙って彼女のサービスを受けた。

その店員は無愛想だが、根は親切なのであろう、巻いたのがほぐれたりすると「ごめんなさい」と謝ってくれたりして、「No problem」というとかすかに笑った。そうこうしているうちに、どーん!と大きな皿に残った鶏ガラで作ったスープが出てきた。「こんなの頼んでないぞ」と思ったが、彼女のサービスに免じて黙って飲んだ(単に気が弱くて何も言えなかっただけだけど・・・)。

彼女は春巻きみたいな皮が無くなるまで、きちんとサービスしてくれた。ビールと北京ダックで腹がいっぱいになり、スープはほとんど飲めなかった。「さぁーいくらだ」と思い、「マイタン!」と会計を頼んだ。

そしたら最初に注文したメニューの金額どおり60元と書かれたレシートを持ってきたではないか。ちょっと拍子抜けし、そしてせっかくサービスで出してくれた鶏ガラスープの大半を残してしまったことに罪悪感を感じながらその店を後にした。「外国人には親切にせよ!」と中国政府から通達がでているのだろうか? とほろ酔い気分でそんなことを考えながら、地下鉄の駅に向かった(残念ながら店の名前は忘れました)。

次に円明園へ向かった。眠くなったので地下鉄2号線をわざと逆周りの電車に乗り、すこし寝た。西直門で地下鉄4号線に乗り換えた。地球の歩き方では建設中となっていたが、今は全線開通していた。

円明園駅」で下車。入場料25元を払って入園。ここもでかい。日が傾いてきたので早足で一番奥にある西洋楼遺し区に向かった。ここは清朝離宮跡で1860年にアロー戦争で英仏軍にぶちこわされたそうだ。今ではその残骸が無残に残されている。

当時の様子を再現したビデオを見たが、当時はたいそう立派な離宮だったみたいだ。周囲が20kmもあり杭州の西湖を再現したものなど160もの風景が広がっていたそうだ。清朝の当時の力はすごかったんだなーと感心した。そうこうしているうちに太陽が沈みかけてきた。こんな広い公園内で暗くなっては大変だと思い、足早に地下鉄の駅に向かった。

宿に荷物を取りに行く前に、晩飯を済ますことにした。地球の歩き方にのっている「金てい軒」という香港飲茶の店に行こうと思ったが、昼に北京ダックを食べたので今回は自重し、初日に行った店のラーメンが美味しそうだったことを思いだし、またその店に行った。

店に入ると多分私のことを覚えていてくれたのだろう。普通安い店は席が空いていれば適当に座れという感じだが、今回は「さあ、ここへ座れ」と席に案内してくれた。

周りを見ると一人前の鍋料理を食べている人がいたので、牛肉火鍋(25元)ときゅうりのサラダ(5元)を注文した。待つこと10分。ぐつぐつ煮えたぎった鍋が出てきた。「周りが熱いから気をつけろ」みたいなことを2、3回中国語で言って店員は去っていった。

鍋の具は牛肉、白菜、シイタケ、にんじん、ジャガイモ、魚のつみれ、春雨ととても具だくさんだ。これを全部食べられるか心配だったが、30分くらいかけて何とか完食した。体がとても温まり、久々に野菜をたっぷり取れたのでとても満足した。

スーパーでオレンジジュースと水を買って(2.5元)から宿に荷物を取りに行った。フロントに昨日の女の子はいなかった。お別れが言いたかったのですこし残念だった。宿の前でタクシーを拾い、例のボール紙のメモを見せて北京南駅へ向かった。

運転手が仕切りに時計を指さして中国語で何か言ってきた。適当に返事をしていたら、北の方へ向いて走り出した。「向きが逆だろう」と心配になったので地図を取り出して、進んでいる方向と照らし合わせた。そしたら環状線を使うみたいだ。こちらの方が信号がほとんど無いので早い。この通り沿いには近代的なオフィスビルがたくさんある。「東京と変わらんな」と思いながら外の風景を眺めた。

北京南駅も新しくて近代的だ。タクシーは高速のインターチェンジみないなスロープを上っていく。2階が駅舎でその前で降ろしてくれた(43元)。

駅舎の入り口で切符を見せ、荷物をX線に通す。駅はかなり広い。トイレで歯を磨き、いつでも寝れる状態にした。

21時ごろ、改札が始まった。切符には3号車の2号の上舗と書かれている。私のコンパートメントに入るとすでに50代くらいの夫婦がいた。とりあえず笑顔で「ニンハオ」と挨拶して、荷物だけ置いて廊下に出た。コンパートメントに慣れていないし、年配の人達は日本人に対するイメージはよくないだろうという先入観に囚われていたので、その場に居づらかった。通路で「さてどうするかなー」と思案した。

21時31分。定刻通り列車は動き出した。列車はまだ新しく、そしてとても静かで揺れも少なく快適だ。日本の新幹線「はやて」を元に作られたらしい。

廊下の折りたたみのいすを出して座り、窓の外を眺めた。30分くらいして眠くなったので自分のベットに行くために、コンパートメントに入った。そしたらおじさんに中国語で話しかけられた。私は予め日本で練習しておいた中国語「我是日本人(私は日本人です)」を言った通じない。そしたら奥さんがきれいな英語で「どこから来たの?」と聞いてきた。「日本」というとすこしいやな間ができたので、私はすぐに上段にある自分のベットに上がった。ステップがなかったので無理矢理よじ登った。そしたらおじさんが「ここを使うんだ」と壁に埋め込まれているステップを親切にも出してくれた。ベットで横になりながら北京での4日間を振り返ってみて「案外中国人は日本人のことをそんなに悪く思ってないのかな−」と思った。

そうこうしているうちにむかえのベットにおじさんがよじ登ってきた。コンパートメントは下段の方が上よりもに5〜60元高い。しかもこの列車の切符は他の列車よりもうんと高いので、てっきりおじさん夫婦が下のベットのチケットを持っており、私ともう一人の20歳ぐらいの青年が上のベットを使うものだとばっかり思っていたので、とても驚いた。しかもこの青年はとてもチャラチャラした感じがする。きっと中国の金持ちのバカ息子なのだろうと勝手に推測して、その日は寝た。