中国旅行記4 3日目「万里の長城へ」

12月25日(金)はれ(しかし風強くとても寒い)  1元=約14円

北京から万里の長城へはツアーバスで行くのが一般的だ。しかしツアーでは煩わしいと思い、電車で行くことにした。昨日の韓国人の女の子の話だと、駅から万里の長城までけっこう離れており、帰りがけっこう大変だ、バスにした方がよい、という話を聞いたが、予定通り電車で行くことにした。

北京北駅7:26発の列車に乗るため6:30に宿を出た。今日は風が強くてとても寒い。上下4枚づつ着込んで万全の体制で出発した。外はまだ暗いが通勤、通学する人達が大勢通りを歩いていた。中国の朝は早いと思った。

地下鉄「鼓楼大街駅」まで歩いた。地図で見るよりも、実際は遠かった。30分くらいかかった。北京の地下鉄は一律2元なので分りやすくていい。2駅目の「西直門」で降りた。すぐ隣が北京北駅である。

中国では切符を見せなければ駅構内に入れない。「あっちで切符を買って下さい」と英語で言われ、切符売り場へ向かった。そうこうしているうちに7:26発の電車は行ってしまったので、次の電車9:33発(Y567)で行く羽目になった。中国での電車の切符の買い方は「日にち(12月25日というふうに日本と同じ書き方)」「列車番号」「到 目的地」「座席のクラス」と紙に書いて、「1枚」と人差し指を立てながら渡せば簡単に買える。八達嶺まで1等座で17元だった。

肌寒い駅構内の待合室で2時間待つ。朝からカップラーメンを食べている人が多い。温かくて美味しそうだ。隣でカップルが抱き合いながら寝ている。中国では日本以上にカップルが人前でべたべたしている。そして周囲の人達は他人がとなりで何していようが結構無関心だ。

中国では列車ごとに改札が始まる。きちんと英語で改札が始まった旨の放送もある。列車は最近できたばかりの最新式で結構きれいだ。しかし列車はホームの先の方で止まっている。くそ寒い中長いホームをひたすら歩いて列車に乗り込む。

八達嶺まで約1時間。山間部に入ると急にスピードダウンしてゆっくり列車は進む。途中でハッチバックし向きが変わる。そしたら次の駅が八達嶺だ。

駅で降りて、とりあえず帰りの切符(15:19発Y580)を買った。帰りは2等座にして14元。駅からどちらに向かえばよいか分らない。ちょうどカップルが駅から出てきたので、彼らの後をついていった。ここは北京以上に風が強くて寒い。厚手のウインドブレーカーのズボンをはいてきて正解だった。

駅前の新しい通りを左に向かって、ゆるい坂道を進むこと20分。ようやく八達領の万里の長城の入り口だ。途中で銀行(中国農業銀行)があったので、明日から週末を迎えることを考慮して両替した(1万円→719.7元)。ここは場所柄両替に慣れておりとてもスムーズに両替できた。

40元払って万里の長城へ入った。右が女坂。左が男坂。大勢の人が女坂へ向かうので私もそちらへ。
下から見上げた感じでは、頂上は延々続いているように見える。とりあえず行けるとこまで行くとする。寒くて寒くて仕方がない。北海道に6年住んだことがあるが、これほどの寒さは記憶にないくらい寒かった。途中で何度も引き返そうと思ったが、なんとか最終折り返し地点までたどり着いた。中国人達はみんな結構軽装で元気に登ってくる。私なんかは重装備で来ても死にそうな感じなのだから、中国人はほんと元気だ。所要時間は往復1時間30分くらいだった。

天気が良ければ万里の長城雄大さを感じることができるのだろうが、この寒さではそうもいかない。早々と下山し、近くの食堂に入った。

食堂はボロくて、店員の女の子も服装はダサイし化粧っ気が全くなくて、北京の女の子と雲泥の差があった。しかしメニューは写真付きで外国人でも分るようになっていた。水餃子、ナスの炒め物と菊花茶を注文した(48元)。中国では料理がくる前にお金を取りに来る所が大半だ。その時にレシートをくれるところとくれない所がある。レシートをくれないとあとからダブルで請求されやしないかと心配になるのだが、今回の旅ではそんな心配も杞憂に終わった。

まず最初にきゅうりの辛味噌あえが山盛りになってきた。「へっ!」と思ってよく考えたら、写真でナスの炒め物と思ったものが、実はキュウリだったのである。名称では胡瓜のなんたらと書いてあるので、メニューはよく読むべしと思った。

「ただでさえ寒くて体が冷えているのに、冷たいキュウリを頼むなんてなんたる失態だ」と自分をなじりながらも、腹が減っていたのでポリポリ食べた。味は日本と変わらなかった。そうこうしているうちに、水餃子が来た。かなりのボリュウムだ。ご飯を頼まなくて正解である。餃子だけで腹一杯になる。

1時半過ぎに駅に着いた。駅の待合室は一応暖房が入っているが、天井が高い上にけっこう広いのでけっこう寒い。日本人もちらほら見受けられた。みんなけっこう薄着だ。寒さでみんな押し黙っている。

電車で万里の長城に行く欠点は、電車の本数が少ないことだ。基本的には2時間ごとに1本という感じだ。バスだとばんばん出ているので、待ち時間が少なくて済む。昨日の韓国人の女の子の話を真剣に受け止めておけば良かった。かなり後悔した。

改札が始まり、くそ寒いホームで電車を待つこと10分。ようやく電車に乗り込むことができた。偶然にも私の席の隣はかわいい日本人の女の子だった。「もしかして日本人ですか」と話しかけるタイミングを計っていたら、連れの男友達が「She is my friend. Change!」と言ってきたので、黙って席を替わってやった。せめて「Please changeと言え!」 と心の中で思った。
(これらの山の砂が黄砂となって春先に日本まで飛んできます)
宿に戻りシャワーを浴びて少し休憩した後、晩飯を食べに昨日の混んでいた店にまた行った。今日も相変わらず混んでいる。昨日多くの人が食べていたモツの土手煮(たぶん12元)を注文した。

多くの人が同じものを頼んでいるため、窓口で商品を受け取るときにどれが自分の物かよく分らなかった。何回も「これ?」と指さしながら店員さんに確認し、4回目くらいで「そうだ、そうだ」と言われた。

席はどこも埋まっていた。4人掛けのテーブルに女の子が一人だけ座っていたので、その斜め向かいの席を指さしながら「OK?」と聞いたら、ちょっと戸惑いながらも中国語で「どうぞ」みたいな感じで言ってくれたので、その席に座った。

しばらくしたらその女の子が中国語で話しかけてきた。私が「Can you speak English?」と聞いたら、急に笑顔になって「YES!」と言って、英語で「どこから来たの?」と聞いてきた。「日本から来た」と言ったら、「えーあなた日本人なのー」とすごく喜んでくれた。

そしたらその女の子の彼氏が2人分の料理を持って私の隣に座った。その女の子もかわいいが、その彼氏ハンサムでとても凛々しい感じがし、お似合いのカップルだ。その彼氏は日本に3回も行ったことがあるそうだ。私の今後の予定と「スミマセンてどんな意味?」と聞いてきたので、簡単な日本語のレッスンを少しした。彼らは最後に「ようこそ北京へ! 中国での旅行を楽しんでね」と言ってくれ、向こうは「サヨウナラー」、私は「再見!」とお互いの国の言葉で別れの挨拶をした。

私は中国人の対日感情は悪いと思っていたので、このカップルの私に対する対応がすごく嬉しかった。そしてこの中国人学生との触れ合いを皮切りに、このあと中国に対する好感度がアップする出来事が続くのである。

宿に戻って、フロントで昨日頼んだ蘇州行きの寝台列車の切符を受け取ることができるかどうか聞いた。そしたらちゃんと届いていた。昨日頼んだ女の子が対応してくれて、引換書を渡すとしっかり内容を切符と照らし合わせて確認してから渡してくれた。「仕事を間違えなく確実にする」という態度が感じられ非常に好感が持てた。しかもポール紙に「北京南駅」と手書きの中国語で書いた物も一緒にくれた。中国のタクシーでは英語が通じないので、これを運転手に見せろという。私は嬉しくなって「Thank you very much!」と少し大げさに言ったら、その女の子も笑顔になって、そして少し恥ずかしそうに「You are welcome」と言ってくれた。

部屋に入るとまだだれもいない。疲れていたので即寝した。