凄い時代

凄い時代 勝負は二〇一一年
久々の更新です。
3連休ヒマだったので堺屋さんの本読みました。
いやー内容濃いですね。世界経済について産業革命の時代あたりまで遡って、現在に至った経緯を分りやすく解説してます。日本についても江戸時代から書かれています。

弱小個人投資家としては、日本は高齢化社会で未来がないから、海外に投資しようと思っていたが、アメリカもヨーロッパもしばらく復活しそうにもないことが分った。
本書を読むと、いかにBRICsをはじめとする新興国アメリカがセットになって発展してきたかよく分る。
だからアメリカが転けた今、BRICs諸国もそう簡単に成長率上がらないでしょう。

ヨーロッパも大変そうだ。ヨーロッパの今までの好景気も結局アメリカからの投資に依存していたので、現在はアメリカ以上にダメージを受けている。ドルの次はユーロの時代か?と思ってユーロのMMF20万円分買ってあるが、ユーロが国際基軸通貨としてドルを凌駕することはなさそうだ。

そして日本。本書の真の目的は、日本がなぜ今回の危機で先進国中最大のダメージを受けたのかが、上記に書いたように過去から現在にまで至る経緯を壮大なスケールで書かれているので、とても説得力がある。そしてさらに日本が復活するために必要な6つの改善点が指摘されている。

どの改善点も聞いたことある物ばかりだが、これだけのスケールで書かれると、この6つを改善するだけで日本は再び希望の持てる国になれると思えてしまう。

6つの改善点とは、
●公務員改革( 公務員を身分から職業へし、人材の流動化を図る。)
 本書によると昔は厚生労働省は小さな省で人員が少なく、農水省は大きな省で人員が多かったが、今は仕事量については逆転しているにもかかわらず、人材の流動化が進んでいないために、優秀な幹部が厚生労働省で不足しているらしい。仕事量が減っている農水省から転籍させればいいのにそんな簡単なことがままならないらしい。それは多分よそ者が年取ってから転籍しても、いいポジションといい天下り先が獲得できないから、今の省でとどまっていた方が得策と考えているからであろう。こんなくだらないことで、年金とか医療とかの問題の解決が進んでいないとしたら、国民としてははなはだ迷惑である。

地方分権(Near is best.の発想)
 お金を使うときでも自分の金と会社の金では、使うときの真剣さが違う。地方分権が進めば東京以外の地域は最初とても苦労すると思う。しかし、現状では国の役人どもは自分たちの保身するだけで精一杯で、だれも地方のことを真剣に考えていない。やはり自分たちの事は自分たちで解決するしかないのである。

●「財政」は最後の改革
 今財政支出を絞ると日本は(世界もだけど)大打撃を受ける。財政を引き締めるのは改革がある程度進んでからのほうがいいらしい。それと財政危機が訪れるのは日本国債が売れなくなった時だ(だから長期金利の動向には注意を払うべし(個人的意見))。
 
●教育の目的を変える
 これからの時代は発想力が大事だが、現状の全国一律画一的な教育方法ではこの能力は伸ばせない。教育の自由化をすべし。

●日本をもっと海外に開く
 みんなもっと世界の動きに目を向けよう。そして外国人、外国資本を受け入れよう(ただし中国に飲み込まれないように気をつけよう(個人的意見))。

●好老文化を創る
 老人をターゲットとした商売をもっと研究すべき。いずれ多くの国が高齢化社会を迎えるが、どの国もこの分野は開拓されていない。日本は先陣を切れる絶好のチャンス。

あと医療とか農業とか都市計画とかも自由化を促進すべきとしている。地方で医師不足が問題となっているのも、料金が全国一律だからじゃないかな?市場の原理に任せれば需要と供給のバランスに従ってちょうど良くなるようになるのでは?それで歪みが生じるところだけ行政が関与すればいいんじゃない?

農業も農水省が今まで何十兆円もの予算を使いながら食糧自給率40%、農家の多くが儲かってない状況しか作れないのは、大いに問題ありでしょう。ここらで責任追及をする必要があるのでは?

日本は問題点がたくさんある。でも逆に考えればこれらを解決すれば今後も大いに発展する余地があるということでしょう。

政治は国民を映し出す鏡と言われている。なんか民主党の政策がずれているように感じるのは、国民の考えがずれているから・・・でもこれらの考えの多くがマスコミの影響を受けていて、マスコミは官僚と結託して情報操作をしているそうだから・・・まあ、自分たちがいろいろな本を読んで賢くなるしかないのでしょう。