人間この信じやすきもの 2

わずかなことからすべてを決める(不完全で偏りのあるデータの誤解釈)
信念と合致する情報の過大評価
必要条件を満たす証拠を、いつのまにか十分条件を満たす証拠にすり替えてしまうために、ある信念が正しいことを保証する基準が甘くなり、間違った考えを信じてしまう。

仮説に合致する情報だけを捜そうとする傾向
例えば類似性の仮説を検証するときには、相違することの証拠よりも類似することの証拠を探し求め、相違性の仮説を検証するときには、その逆がなされる。この二つの対象間に見出される関係は、どんな質問が与えられたかによって、まったく異なるものとなってしまう。

隠れたデータや欠損データのもたらす問題
ライフスタイルや社会での役割、地位などの制約から、情報の重要な部分が手に入らないことがしばしばあり、その結果、私たちの世界を見る目が歪められることがある。

自己成就的予言(予言したことが予言通りに起こってしまうことになる予言)
例えば、ある銀行が破綻するという間違った噂のために、預金解約が殺到し、本当にその銀行が潰れてしまうこと。つまり、ある種の期待を持ってしまったがために、行動が変わり、そうした行動が周りの世界を見る目を変えてしまうということ。

ただ、核心部分は一理あるような信念がやや誇張されてできたものであることが多い。つまり、まったくの無から特別な効果が生まれることではなく、小さな効果が大きな効果へ変化することと考えるべきのもの。火のないところから煙はたたない。

真と疑似の二種類の自己成就的予言がある。今まで述べたのが真の方で、疑似自己成就的予言とは、観察者の期待が、ある人に特定の行動をとらせ、その結果、その人の他の行動は観察できなくなること。
例えば、誰かが私のことを不親切だと思い込んで、私を避けるような行動ばかり取ると、私は自分が親切だと証明できる機会がなくなってしまい、結果的に不親切であることの証明となってしまう。隠れたデータがもたらす問題の一例で、私たちは他人に対する評価のうち、否定的なものは、肯定的なものに比べて修正されにくいことを示している。 

(ここまでの感想)
 人間のこれらの性質をいい方に活用すると、目標を決める、有言実行、夢をノートに書き留めておく、とかになるのだろう。そうするとそれらに関する有用な情報がフォーカスされやすくなり、得られやすくなる。そうして実現する可能性が高まる。逆に悪徳セールスマンや詐欺師などは、これらの性質を悪用して、人に間違ったことを信じ込ませる。ホントこの本はいろいろ参考になる。