まぐれ(まとめ)

「まぐれ」の内容のまとめ

著者は、確率に詳しいウォール街のトレーダーで、この本は、人間の物事に対する認識が、いかに不正確だということについての、エッセイである。世間では、こういうのを理解している人を「頭がいい人」と見なすだろう。とても有用な本である。

二重思考の問題
逆が真とは限らないこと。お金持ちはみんな粘り強く働き者だからといっても、粘り強く働き者が必ず金持ちだとは限らない。

◆中央値は語らない
期待値と中央値は全く異なること。平均寿命通りに死ぬ人は、そんなにいない。

◆非対称なオッズ
起こりうる結果は二つだけど、確率は50%ではなく、一方が高い確率で実現すること。
こういう時は、損失が起きる頻度や確率は、結果の大きさと合わせて考えなければならない。

帰納的推論について
経験から得られた観察は、適切な方法論の裏付けがないと、人にものを見誤せることが多い。
過去のデータを持ってきて、サンプル一個として扱い、将来も性質は同じだと仮定して、その過去のサンプルを分析して将来のことがよく分かったと信じ込む。しかし状況は時代とともに常に変わるもの。母集団の取り方に注意する。あと人は自身の過去に起きた最悪の事態を、起こりうる最悪の事態だと思いやすい。この考えも根拠がないので危険。

◆生存バイアス
変数の最大値の分布を見て、それが変数自体の分布だと勘違いしてしまうこと。つまり、ダイエット食品のテレビショッピングで、そこに出ていたダイエットに成功した人を見て、自分もこれを食べればダイエットに成功できると思うこと。逆の生存バイアスは、繁華街で呼び込みのおっさんに連れて行かれる所は、ぼったくりの店である確率が高いということ。優良店は法律を違反しなくても客が来るので、そんなリスクを冒す店に、いい店は少ない。

非線形
砂山のなだれ現象で説明されることが多い。うずたかく盛った今にも崩れそうな砂山に、一粒の砂を乗せただけで、その砂山が崩れてしまうこと。要は不釣り合いに大きな効果が現れること。
人間は、原因の方の変数が安定していれば、結果のほうの変数も必ず安定しているものだと思ってしまう。例えば毎日一生懸命練習しても、なかなか上手くならない時、そこであきらめて止めてしまう人がいるが、物事は練習量に比例して毎日上手くなるわけではない。ある日突然上手くなる。

ヒューリスティック(以下 H )
経験則から未知のものに対して予測を行い、ある程度以上の精度で正解に近い結果を得る方法のこと。しかし間違いやすい。代表的な間違いは
・絶対水準ではなく差で判断する。特定の参照点にあわせて判断を行う。(アンカリング)
・はっきり見えるリスクを恐れるが、抽象的なリスクは恐れない。
・事後的に見れば物事は予見できたかのように思える。
・演算の誤り。簡単に結論を出しすぎる。
・オッズを過小評価してリスクをとる。
・事象が起こる頻度を頭に浮かびやすい事象の例から推定する(入手容易性H)
・その人の特徴を集団の代表的なメンバーの特徴に照らして判断する(代表性H)
・過去を他のシナリオでやり直す(シュミレーションH)
  あの時それをしていなかったら・・・
・事象に対して抱く感情で、その事象が起きる確率をきめてしまう。(感情H)

◆不確実性に対して私たちが見せる人間的な面について
・ゲン担ぎ→我々人間は安易に因果関係を思い浮かべるというバイアスがある
・実績と自己評価の違い
 →人間は自己評価が甘くなりがち


他にもいろいろ書かれているが、上手くまとめられないので今回はこれまでで終了。